甲斐拓也の巨人加入は“背信行為”?「大きな戦力アップになるかは…」敏腕スカウトが疑問視するワケ「“刺せる”岸田のほうがありがたい投手も」
甲斐加入で戦力アップ?「そこまで単純じゃない」
そのへんは「ご同業の仁義」ということなのだろうが、野球界はやはり人間くさい世界のようである。 「甲斐が加入したから大きな戦力アップになるかっていわれると、プロ野球のピッチャーっていうのも、また野球自体も、そこまで単純じゃないと思いますよ」 現役が長かった人というのは、こうした話がスラッと出てくる。 「甲斐の持っている持ち点が100点だとして、甲斐が入ったから<プラス100点>にはならない。相性っていうんですか……合う、合わないって、あるじゃないですか、なんでも。プロのピッチャーって、主張、強いですよ。生活かかっているんですから」 この元選手の元スカウトの方自身、かなり主張の強い選手だったような話しっぷりだ。 「ここ数年の甲斐は、盗塁阻止率が下がっていると聞いているし、そうなると、クイックが苦手なピッチャーなんかは、刺せる岸田(行倫)のほうがありがたいんじゃないかな」 今季のジャイアンツ、調べてみると、マスクを被ったのは岸田捕手が最多の79試合で、大城卓三捕手が45試合、小林誠司捕手41試合……主にこの3捕手を使い分けて、リーグ優勝に輝いた。 「他のキャッチャーを控えにしてまでの、クリーンアップ級のバッティングがあれば、また話は変わってくるけど、さて、どうだろう。
甲斐が去ったソフトバンクに起こる「変化」は?
一方で、甲斐捕手が抜けたソフトバンクのほうには、どんな変化が現れそうか? チーム防御率2.53。2位日本ハムに13.5ゲームの大差をつけて、圧倒的リーグ優勝を飾った強力投手陣。 石川柊太はロッテに移籍したものの、左右のエース・モイネロ、有原航平に、スチュワート・J、大関友久の先発陣。さらには、ヘルナンデス、藤井皓哉、オスナ、松本裕樹の無敵リリーフ陣。12球団最強の精鋭たちだ。 「それだけに、実力も自信も人一倍の選手たちですから、甲斐が抜けた途端にガタッと成績が落ちたんじゃ、無敵投手陣のプライドが許さない。今こそ、オレたちの本領発揮の時とばかりに、キバむくんじゃないかな。そうじゃなきゃ、プロじゃないでしょ。アゲンストの風が吹いた時のホークス、強いですよ。小林(誠司)が人的補償で行くのか、今年頑張っていた海野(隆司)がマスクかぶるのか知らないけど、キャッチャーはとにかく、一級品の投球をしっかり受け止めること。そこに尽きると思うけどなぁ、私は」 2010年育成ドラフト6位。 この年指名された97選手の中で、94番目に指名されたのが、楊志館高・甲斐拓也捕手だった。 高校3年の秋になってもなかなか進路が決まらず、状況から「プロ」しか適性がないのでは……と考えた関係者が、地元ソフトバンクの九州担当スカウトに「一度見てもらえないか」と頼み込んだ。 「甲斐のことは、3年間ずっと見ていました。今は甲斐バズーカなんて言っていただいていますが、高校時代はそこまで鉄砲肩じゃなかった。その代わり、体の持っているスピード……プレースピードが素晴しかった。確かに小柄(当時168cm、74kg)でしたけど、獲って獲れない選手じゃなかったですね」 ただ、本気で、死ぬ気で野球に打ち込めるのか。その一点に疑問があったという。甲斐捕手と向き合ったのが、当時、九州担当だった福山龍太郎スカウト(現アマチーフスカウト)。以前、こんな振り返り話をしてくださった。 「ヒッチする打ち方やったけど、3年間で40本放り込んどった。スローイングのボディバランスも良くて、(二塁送球の)タイムも1.7秒台が出た。プレーに野性味もあるし、こいつやったら賭けてみたい。そう思って、一点だけ確かめに行きました」
【関連記事】
- 【つづき/有力捕手少なすぎ問題編を読む】ソフトバンク甲斐拓也が巨人移籍…ベテラン記者が考えた日本野球“有力捕手少なすぎ”問題 敏腕スカウトも「捕手からこの国の野球が壊れてくる」
- 【写真で比較】「えっ、細い…いまと全然違う!」いまから14年前、高校時代のガリガリの甲斐と現在のムッキムキのフィジカル…身長差がエグイ168cmの甲斐と193cmの大谷さんのWBCでの活躍も
- 【あわせて読む】「甲斐(拓也)の獲得は疑問だね」“キャッチャー多すぎ問題”に巨人OBの見解は…?「人的補償は小林誠司になるんじゃないか」
- 【こちらも読む】「(大勢は)そりゃあよく思ってないでしょう」ライマル獲得に大勢の本音は…槙原寛己が語る「菅野智之はメジャーでやれる、田中将大は巨人で良かった」
- 【話題】「マー君、巨人がいいんじゃないか」NHK解説者が語る、“田中将大36歳の楽天退団”「楽天に入りたい選手が少なくなるのでは」「マー君は10勝10敗でいいから…」