【NBA Rakuten解説者インタビュー】佐々木クリスさん 「河村選手の成長スピードは本当に目覚ましいものがある」
「NBAはディフェンスをしないからつまらない」という先入観を覆すサンダー
――NBAカップが終わり、レギュラーシーズンの前半戦も終盤に差し掛かってきていますが、ここまでで印象に残ったチームは? 佐々木:たくさんありますが、まず西ではサンダーですかね。昨シーズンもウェストで1位を獲得し、今シーズンは多くの人がエースのシェイ(ギルジャス・アレクサンダー)をMVP候補に挙げ、そしてチームも西の1位になると予想する中で、その期待にきっちり応えているのはすごいことだと思います。 現在のサンダーのディフェンシブ・レーティングは103.1(スタッツは12月17日時点のもの)で、これはリーグ平均よりも9ポイントも低い数字です。トラッキングデータがある過去28シーズンを見ても、平均との開きが一番大きいシーズンになるかもしれません。 NBAをあまり見ない方の中には、「NBAはダンクや3ポイントばかりで、ディフェンスをしない」というイメージを持っている方もいるかもしれませんが、NBAカップで対戦したロケッツやマーベリックスとの試合を見ても分かるように、サンダーは「NBAはディフェンスをしないからつまらない」という先入観を率先して覆してくれるチームだと思います。 ――東のチームはどうでしょうか? 佐々木:東は難しいですね。さすがボストン・セルティックスという感じもしますが、もちろんクリーブランド・キャバリアーズも面白い。ただ、キャバリアーズは年内のスケジュールを見ると、1位は堅いだろうなと思っていました。本当に試されるのは年明け以降、プレイオフに入ってからだと思います。 直近で言うとアトランタ・ホークスはここ1か月ぐらいで特に勢いがあり、上位争いをかき回す存在になりつつあります。ジャイアントキリングを起こす可能性も、十分に秘めていると思います。 これまではトレイ・ヤングの個人技に頼るチームでしたが、今シーズンは、チームとしてよりバランスの取れた戦い方ができるようになっているように感じます。大きな違いで言うとジェイレン・ジョンソンのような、プレイメイクもできる万能フォワードが現れたことです。MVPは難しいかもしれませんが、オールスターのポテンシャルを持った選手ですね。時に彼がバックアップポイントガードのような役割をこなすこともあります。 また、ベンチスコアもリーグ上位に位置しています。これまでトレイ・ヤングに頼る部分が大きかったですが、彼が絶好調でなくても、チームとして力を発揮できているのは大きな成長です。彼らの進化には、改めて大きな期待をしてしまいます。