進研ゼミの“会員離れ”が止まらない…「難関校を目指す塾」と明暗が分かれた理由
「塾・予備校」は、どれだけの実績を作れるかが勝負
その一方で、塾や予備校を運営する上場企業トップスリーの業績は好調です。「東進ハイスクール」「四谷大塚」のナガセ、「TOMAS」のリソー教育、早稲田アカデミーの3社は、今期の業績が予想通りに着地すると3期連続の増収。各社ともに今年度の売上高は7~8%伸びる見込みです。 難関校を突破した実績を持つ塾に人気が集まっているのは、教育熱心な家庭が多額の教育費をかけているためでしょう。今や中間層は瓦解し、二極化が進んでいるのです。ハイレベルなポジションをとっていた3社が、有利な状況に置かれました。 ソニー生命は、大学生以下の子供がいる保護者に対する調査を行っています(「子どもの教育資金に関する調査2022」)。それによると、2022年の中高生の子供に対する学校以外での教育費は月額20580円。2016年と比較して3割(4771円)増加しています。小学生も2022年は15394円で、2016年比で同じく3割(3709円)増えました。 少子化で塾産業は先細りになるという悲観的な声もありました。しかし、人口の減少分は支出増で抑制されています。大切に育てた子供の将来の活躍に期待し、学校以外での教育にお金をかけようとする家庭は少なくありません。塾や予備校は、多額の資金を投じても構わないと考える保護者の価値観と合致したサービスを提供する必要があります。その点、有名校への橋渡し実績は強力な武器になるのです。 ナガセの営業利益率は10%を超え、リソー教育と早稲田アカデミーも8%程度あります。もちろん広告宣伝費はかけていますが、利益を圧迫するほど過剰な広告を出しているわけではありません。教室数を拡大しつつ、実績作りに邁進するという難しいかじ取りが求められています。
ベネッセは傘下の塾も苦戦中
苦戦しているのが東京個別指導学院。ベネッセグループの傘下にあり、個別指導型の塾を運営しています。2022年度は3.1%の減収でした。2023年度は増収を見込んでいるものの、1.7%の伸びに留まる見込みです。なお、2023年3-11月の売上高は、前年同期間比0.8%減の151億9600万円でした。 同社はコロナ禍からの反動で、2021年度の売上高が17.5%増加し、営業利益は4倍に跳ね上がりました。営業利益率は3.2%から10.7%まで上昇します。しかし、そこからは2期連続の営業減益となる見込みです。 東京個別指導学院は主力となる高校生の生徒減少、停滞に悩まされています。