海水浴場に面した温泉宿泊街。南海トラフ地震臨時情報に続いて大型台風が襲来し、客足に影響が出た＝16日午後、熱海市

　南海トラフ地震臨時情報（巨大地震注意）の発表に続き、16日には台風7号が接近するなど、かき入れ時の今月に入り、伊豆東海岸の宿泊施設が翻弄（ほんろう）されている。臨時情報発表直後のキャンセルから予約が戻りつつある中での台風に「自然にはかなわない」と悔しさも。一部では今月後半の予約が鈍く、「臨時情報の心理的な影響が続いているのでは」と気をもむ。 　熱海市の海岸を望むホテル「熱海シーサイド　スパ＆リゾート」。8日に臨時情報発表、翌9日は神奈川県西部で震度5弱の地震が発生し、キャンセルが相次いだ。いったん持ち直したが台風7号接近で再び増え、客室の3割強がキャンセルされた。運営する富士急マリンリゾートの堀内明広社長は「地震情報と台風で海のレジャーが敬遠されてしまった。最大のかき入れ時なのに大打撃」と肩を落とす。 　稲取温泉（東伊豆町）の「稲取銀水荘」も同様にキャンセルが相次ぎ、約100室のホテルは7割程度の稼働率。臨時情報の防災対応呼びかけ終了翌日の16日は当日予約も数件あったというが、加藤晃太社長は「自然のことばかりは仕方ない」とため息をつく。 　同町の熱川温泉の旅館「ふたりの湯宿　湯花満開」でも4分の1がキャンセルに。特に関西地区の客からが多かったという。熱川温泉旅館組合長も務める石島正和専務は、夏休み後半の予約の鈍さにも頭を悩ませる。「熱川温泉全体で低調。海水浴離れや猛暑の影響もあるのだろうか。旅行マインドは冷え込まないといいが」と心配する。 　「五輪イヤー」の影響を指摘する声も。東伊豆町の旅館経営者は「夏の五輪の年は客足が伸び悩むというのが業界の共通認識」と語る。熱海の観光関係者は「いつもは五輪後に客足が回復する」と今後の巻き返しに期待する。