【エルメス】過去と今をつなぐ職人技と創意工夫をミラノで実感【ミラノデザインウィーク】
ヘリテージアイテムの用途に魅了されて生まれたものもある。アーカイブに保管されている筒状のレザーバッグに数か所穴が空いた「マンジョワール」。1949年に制作されたこのバッグ自体、消防士が使用する金属製のバケツの形から着想して生まれた。そして今回、アーカイブ「マンジョワール」の形と、競馬のジョッキーのユニフォームの柄から着想して、レザーをアップリケのように縫い合わせた新作のバケット「ダービー」が誕生した。レザーアップリケの技法は主にエルメスのバッグ製作時に使われているテクニック。一枚一枚のレザーを丁寧に、細心の注意を払いながら組み立てる必要がある。アップリケの技法だけでなく、ベース部分と本体を接合するバイアスステッチや表と裏のパーツの組み立て、さらにサドルステッチ、エッジの仕上げなど、エルメスの職人が持つ、バッグ、馬具づくりのノウハウを駆使することで生まれたものだ。 【写真】バケット「ダービー」。両面ともヴォー・エプソン、外側レザーアップリケ、サドルステッチ、フルグレインレザーのベースはバイアスステッチによる縫い合わせ。サイズ:Ø31×51cm 制作: Studio Hermès 2024 手前に着想の元となったバッグ「マンジョワール」(1949年)。グリーンのボックスカーフ Hermès Conservatoire of Creations エルメスにとって過去と今をつなぐもの。それはいつのときも素材、手仕事の技、そして創意工夫であることを、時代を隔てたオブジェたちが語りかけた。 (いずれも日本での販売時期は未定) エルメスジャポン TEL. 03-3569-3300 BY KANAE HASEGAWA