フリースクール通いの不登校の子どもは「高校進学を目指すには不利になる」…親が知っておくべき学校以外の教育選択肢のメリットデメリット
『不登校の9割は親が解決できる』#1
不登校の子どもたちの数は年々増え続けており、大きな社会問題となっている。それに合わせてフリースクールなど学校以外の居場所も増えているが、そういった教育の場のメリット・デメリットは? 【画像】今後、日本でも増える「ホームスクーリング」 『不登校の9割は親が解決できる 3週間で再登校に導く5つのルール』(PHP研究所)から一部抜粋・再構成してお届けする。
文科省が示す「不登校支援についてのガイドライン」の大切な部分
すべての人は教育を受ける権利を持っており、保護者は子どもに普通教育を受けさせる義務があります(日本国憲法第26条)。 この「普通教育」は学校での教育に限っているわけではありません。学校以外の場所であっても、普通教育の趣旨に合った教育であれば認められます。 2019年に文科省は不登校支援についてのガイドラインとして、「不登校児童生徒への支援は、『学校に登校する』という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要がある」と示しました。 これを「国も学校に行かなくていいと言っている」と捉える向きもありますが、大切なのは後半の「自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す」というところです。 確かに、いまはフリースクールのように学校以外の場所が増え、注目を集めています。 フリースクールとは、一般に、不登校の子たちに対して学習活動、教育相談、体験活動などを行っている民間施設のことを言います。統一された基準があるわけではなく、それぞれの施設が独自に運営しているものなので、多種多様なフリースクールが存在しています。
フリースクールの注意点
子どもの主体的な学びを目指し、自然の中で遊んだり職業体験のようなことをしたり、面白い体験活動をしているフリースクールなどはニュースになるので、そういうイメージを持っている方もいるでしょう。 子どもに合ったフリースクールがあり、そこに通うことで「自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立すること」を目指せるのであれば素晴らしいと思います。ただ、いくつか注意点があります。 ⚫利用するための料金がかかる 施設の規模や通う日数等によって料金はさまざまだが、平均すると月額3.3万円。 ⚫出席扱いにならない場合がある 一定の要件を満たしたフリースクールであれば、小中学校に行く代わりにフリースクールに通うことで出席扱いになる。ただし、最終的な判断は各学校の校長によるため、出席扱いにならない場合も。 ⚫高校進学を目指すには不利になる 出席扱いになったとしても、成績はつかない。基本的に内申点はゼロになるケースが多く、高校進学を目指す場合には不利になることが多い。通信制や定時制の学校以外の選択肢がなくなるリスクがある。 また、それぞれのスクールの方針によって差はあるものの、学校のように決まった時間に行き、時間割通りの生活をするわけではないのが特徴です。 ルールが多く、集団生活が重視される学校とは違う場所として始まっているので当然です。スクールによっては、好きな時間に行き、ゲームをしたり漫画を読んだりしているだけという場合もあります。 お昼頃から行って、ずっとゲームをして過ごしている子が、学校に戻れるかというと相当難しいでしょう。社会的自立を目指せるのか不安は残ります。 もちろん、私はフリースクールを否定したいのではありません。運営されている方々は、子どもたちのことを想って努力されていますし、学校以外の選択肢があることで救われた子たちもいます。居場所づくりを重視しており、同じ悩みを持つ子たちとのつながりを作ってあげたい場合には向いていると思います。