魅力的な“新顔”が登場。暑さに強い「ルドベキア」のブーケ&アレンジ
藤野幸信さんが選ぶ「季節の贈り花」 今、この花を贈りたい!
「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが“今贈りたい”おすすめの花をセレクト。その花を使った、新作ブーケ&アレンジメントをさまざまなバリエーションでお届けします。 藤野幸信/Yukinobu Fujino 広島駅からほど近い段原の骨董通りにある「フルール トレモロ」オーナー。広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を終了後、花の道に進んだ異色の経歴。著書『大切な人への贈り花』も好評。
「ルドベキア」
花弁が多く密度感のあるジニアやバラのアレンジに、ルドベキア‘ヘンリーアイラーズ’を加えると、ストロー状の花弁がすき間をとって並び着くさまがよく目立ち、アクセントになってくれます。引き締め役にチョコレートコスモスを散らし、グリーンワッフルゼラニウムでナチュラル感をプラスしました。
夏の暑さに負けない花。魅力的な新顔登場で切り花でも活躍!
真夏でも街中で鮮やかな黄色の花を元気に咲かせるルドベキア。「これは野生種?」と思うくらいよく見かける花径3cmほどの小輪タイプは、古い時代に渡来した‘タカオ’という品種で、暑い日本の夏にも負けずに咲く姿は力強さを感じさせます。 以前は‘タカオ’も切り花で流通していたのですが、最近ではどんどん誕生する新品種が注目され、流通量も多くなっているようです。そんな新顔の中で、私がとくに気に入って使っているのが‘ヘンリーアイラーズ’という品種です。花弁が細いストロー状になっているのがユニークで、スパイダー咲きのガーベラより小ぶりで繊細な印象です。花弁と花弁の間にすき間があるので、風が通るような清涼感があるのもまた魅力的で、暑い時期の贈り花にぴったりな印象です。茎が細く長いので、ブーケにも使いやすく、‘タカオ’に比べると花もちがぐっとよいのも大きな魅力です。 ‘ヘンリーアイラーズ’は、ルドベキアの原産地の北アメリカの野生種から発見されたサブトーメントーサという種類の突然変異種だそうです。
ルドベキアといえば黄色が思い浮かびますが、新顔にはじつにシックでしゃれた花色もあります。海外で育種された‘キャラメルミックス’という品種には、ポップな色からくすみ系の黄色やオレンジ色などシックな色も混じり、それを栽培してよく出荷してくれるのが福岡県糸島市の「New Sense Flower吉村」さんです。吉村さんは夏を代表する花の一つ、ジニアでもしゃれた花色を生み出してくれる方で、本当にセンスがいいなーといつも感心しています。 ‘キャラメルミックス’は花形が半八重~八重咲きまであり、一つ一つの表情が異なるのも魅力的です。花形が似ているヒマワリやボリューム感のあるダリアと合わせても存在感を示す個性の強さがあります。 ルドベキアはいずれの品種も出回り時期が夏から初秋までと限られているので、季節感を伝えたい贈り花にぜひ利用してみてください。