〝衰えたレジェンド〟前楽天・田中将大に「今のプロ野球界では通用しません」の評価 獲得球団には重圧とリスク
レジェンド右腕はどこに向かうのか。楽天から電撃退団を表明した田中将大投手(36)の動向が注目を集めている。実績も経験も十分で日米通算200勝までもあと3勝。水面下では先発陣の強化を図るヤクルトが獲得調査に乗り出す構えだが、球界内では来季19年目を迎える田中将の〝現在地〟には懐疑的な声が少なくない。今後はいばらの道となりそうな雲行きだという。 球団側との来季交渉が物別れに終わり、退団を表明したのは24日のことだった。自身のユーチューブチャンネルで発表し、26日に初めて報道陣に応対した田中将は「オファーをいただいたという事実はあるが、個人的には実質、居場所がないじゃないかと受け取った。もう期待はされていないんだなという印象を受け、求められるところでやるのが一番だなと思った」と語った。 もちろん、新天地を求めるのは現役を続行するため。日米を股にかけた右腕の心意気に、ヤクルトが早くも獲得への動きを見せているが、球界内のほとんどが静観している状態だ。実際に強固な先発陣を誇る阪神などは獲得に消極的な姿勢を示している。そうした編成上の兼ね合いで見送る球団ばかりではなく、根本的な要因には「衰え」があるという。 2021年にヤンキースから楽天に復帰して以降、4年間で20勝。シーズン24連勝の金字塔を打ち立てた13年のような活躍を求めるのは酷としても、プロの目には厳しい評価を下されている。日本球界復帰後から田中将の投球をチェックしてきたパ・リーグのスコアラーの一人はこう打ち明けた。 「マー君は全盛期に比べ、三振を取るスタイルから打たせて取る『軟投派』になりつつあります。そうなると制球力がプロで生き延びる生命線になりますが、その精度が一向に上向く気配がないのです」 さらに「昨年まで本人の一軍での登板を何度か見ましたが、いずれの試合でも相手の主力打者に確実に痛打されていました。直球の球速が140キロ台で制球力が伴わないとなれば、今のプロ野球界では通用しません。おそらく本人も修正点は把握しているでしょうが、制球力は短期間で急激に向上させられるものではない。指先の感覚や投球フォーム全てが関わってきます。この4年間で試行錯誤した上で現状ということなのでしょうから、これ以上の伸びしろは考えづらい。多くの球団がこう評価しているからこそ獲得に消極的なのだと思います」とも補足した。 また、田中将ほどの選手を獲得したとなれば、当該球団には〝重圧〟もかかるという。前出スコアラーは「偉業まで残り3勝ですから、本人は是が非でもこの記録のために投げたいと思う。となれば、必然的にマー君を獲得した球団は彼のために一軍枠を空けて投げさせる必要性に迫られるわけです」とし、次のようにも続ける。 「球威や制球力は衰えたとはいえ、マー君は日米で功績を挙げたレジェンドですし、獲得した球団はそれなりの敬意を払う必要が出てくる。そういうリスクを抱えたくないというのも多くの球団が及び腰になっている要因なのです」 だが、別の側面を重視すれば〝争奪戦〟が勃発する可能性もあるという。ある球団幹部は「やはりプロ野球は興行ですし、人気選手やファンが注目する選手はのどから手が出るほど欲しい。ヤクルトさんがもし本気で獲りにいくならその点でしょう。田中将が投げるとなれば、少なからずメディアや野球ファンも注目しますから」と指摘。その上で「日米通算200勝までカウントダウンに入っているのですからなおさらです。本人がこうした自分の置かれた立場を理解しているのであれば、他にも獲得に動く球団は現れるかもしれません」とも分析した。 「どういうふうになるか分からず、本当に不安だが、自分としてはまだまだやれると思っている」と率直な心境を吐露した田中将。岐路に立たされた右腕はどんな決断を下すのか――。
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