ブタメン愛で、転職先を決めないで退職。おやつカンパニーのマーケ担当が語る「直感に従った選択」
顧客理解には分析がつきものだ。市場データや意識調査の結果といったデータを基に、戦略や戦術を決定することは多いだろう。しかし、前例のない仕事を手がけるとき、最終的に頼りになるのは自分しかいない。 株式会社おやつカンパニーで、ベビースターやブタメンのマーケティングを担当している田中雅洋氏は「戦術や打ち手を決めるうえでデータに頼れないときは、自分たちの直感を信じます」と語る。
ベビースターはここ数年、異業種とのコラボレーションを積極的に進めている。生活者にとって意外性のあるものほど反響が出る傾向があるものの、意外な組み合わせ≒参考例や判断材料となるデータが少なく、直感に従って判断することも多いという。そんな田中氏に、キャリアや仕事に関する4つのマイルールについて聞いた。
田中氏は新卒で大手コンビニチェーンに入社し、店舗に対して本部の方針を伝える店舗運営指導業務を担当していた。学生時代からアルバイトで経験していた仕事であり、店舗オーナーとのやり取りをし、お店が変わっていく様子を見ることにやりがいを感じて就職を決めた。 しかし、同じ業務でもアルバイトと社員では立場が違った。本社の方針を伝えながらも、「自分は実行する側ではなく、やってもらう側になった」とモヤモヤとした気持ちを抱えていた。そんなある日、田中氏の目に入ってきたのは、コンビニエンスストアの軒先でおいしそうにブタメンを食べる子どもたちの笑顔だった。 ┌────────── 私は幼い頃からブタメンが大好きでした。当時の値段は60円くらいで自分のお小遣いで買うには少し高かったんです。おばあちゃんからお小遣いをもらった時だけ食べられる少し特別なお菓子として、強烈に記憶に残っていました(田中氏) └────────── 「あんな風に誰かに喜んでもらえるブランドを生み出したい」という想いにかられ、田中氏は転職先を決めないまま退職した。 ┌────────── 行きたい会社は決まっていました。ブタメンを製造している「おやつカンパニー」です。当時は年に数回、中途採用を募集していると知っていたので、募集のタイミングを待って応募し、入社できました(田中氏) └────────── それから十数年が経ち、田中氏は現在ブタメンやベビースターのブランド担当をしている。お客さまと直に接する機会はグループインタビューや、1対1のデプスインタビューなどだ。特に印象に残っているのは、お客さまがベビースターにどのような価値を感じているかを知るためのデプスインタビューだという。