ブタメン愛で、転職先を決めないで退職。おやつカンパニーのマーケ担当が語る「直感に従った選択」
┌────────── 30代のお客さまにベビースターの魅力をお伺いしたところ「ベビースターにちょっとした元気をもらえている」と話されたんです。疲れて家に帰った時に、缶ビールをあけてベビースターを食べると、昔の懐かしさをじんわりと思い出して「明日も頑張ろう」という気持ちになれると。 その話を聞くまで、私はベビースターの価値の中心が「パリポリ食感でおいしい」という機能的な部分だと考えていました。しかし、ベビースターの本質は幼少期の原体験があることで、お客さまが安心した気持ちで食べ、ちょっとした元気を得られる存在なのだと気づきました(田中氏) └──────────
オーナー企業から外資傘下へ。マーケターとしての転換期
■ [ルール2] コミュニケーションの壁をつくらない、伝わる言葉選び 田中氏がおやつカンパニーに入社した当時、同社は創業家が経営のイニシアティブを発揮するいわゆるオーナー企業だった。その後、外資の資本が入り、2014年からマーケティング組織の強化が行われた。外部のマーケターを招き組織の強化が図られた結果、マーケティングの知識を学べる機会が増えたという。2018年には三重県の本社にあったマーケティング機能を東京に移転した。 マーケターとして学びが増えることは楽しい一方で、田中氏が懸念したのは社内における情報格差だった。マーケティング界隈では頻用される専門用語が多い中、他セクションの従業員との間にコミュニケーションの壁ができるだろうと感じた。 ┌────────── 会話の中に知らない単語がいくつか出てくると、そこで意識が寸断され、話についていけなくなりますよね。そのため業務上のコミュニケーションを行う際は、大先輩や新入社員にも伝わるように言葉を選び、意図を伝えることを大事にしています。 たとえば、当時のおやつカンパニーでは『KPI』という言葉も使われていませんでした。マーケティングプロジェクト(当時)では当たり前のように使用されていましたが、社内で説明する際には『トラッキングすべき重要な指標だよ』など、社内用語として定着していくまでは言葉を言い換えながら説明しました。他には『KSF(キーサクセスファクター)』は『勝ち筋』と言い換えたりしています(田中氏) └────────── おやつカンパニーは社員みんなでブランドを育てて、売上を上げていくという想いが強い会社だ。そのため、マーケティング本部の考え方を全社に伝えるときにも、伝え方に注意しているのだという。