海自の「空母」いずも、西太平洋にて"いずも飯"で出撃セリ!
「いずもカレーは一種類ではなく、多種類あるそうです。人気が高い場合、次の週の金曜日に同じカレーを出します。 給養委員長に聞いたところ、若い人に任せて献立を決めているそうです。若い人のほうが、艦を下りてから、外でいろんな物を食べ歩きしている経験と知識があるから、献立の幅も広がるそうです」(柿谷氏) そして献立が決まり、給養員たちはシップライダーたちを個別撃破するための"いずも飯"を作り始めた。 シップライダーたちの"個別撃破いずも飯"が発射された。第一弾は天ぷらだ。海老魚雷がシップライダーたちの腹に叩き込まれた。 「パラオから参加した警察水上部隊の隊員は、鹿児島、呉に警備艇をもらいに行った際に、天ぷらを食べて、『大好きになった』と言っていました。天ぷらはシップライダーの間でも有名でしたね」(柿谷氏) 日本に来たことのあるシップライダーたちは、すでに日本食の虜になっていた。 "個別撃破いずも飯"の第二弾はうどんかと思ったら、「長崎ちゃんぽん」だった。さすが給養員。意外な攻撃である。 「この献立は『お腹一杯過ぎる』との感想でした。麺とご飯と肉まんですからね。しかし、海曹、海士たちの訓練は、もう本当に常に汗だくで大変なんですよ。エネルギーを大量に使うので、これくらい食べても全然太らないんです」(柿谷氏) 給養員たちは、海自隊員たちの大変さを良く知っている。 元々、海上では日付の感覚が希薄になる。それを防ぎ、艦上で曜日を思い出させるため、慣例的に毎週金曜日に出されるメニューがカレー。これこそ"いずも飯"の最強兵器だ。 「防衛大学校出身の東ティモール海軍のダ・コンサティサオ中尉はこう言っていました。『防大の時から日本のカレーは大好きです。味が懐かしい。さらに、防大の時から海自艦内の食事が一番おいしいことを知っています』と」(柿谷氏) ダ・コンサティサオ中尉には思い出の味となっている。 一方で、多目的区画ではお菓子コーナーが常設されていた。防衛省から来ている女性職員の3名の出した案らしいのだ。 「お菓子屋さんのごとく、日本のお菓子が並んでいて、自由に取って良かったんです。グミ、ポッキー、チップスター、柿の種とかがありました。 最初は、シップライダーたちも控えめだったんですけど、2日目ぐらいからはバクバク食べてましたね」(柿谷氏) 至れり尽くせりの"いずも飯"だ。 しかし、このおもてなし作戦は横須賀に到着して終わりではない。横須賀の海保を見学したり、厚木基地の海自航空隊の見学がある。そして、その後には浅草、新宿、秋葉原の観光ツアーが設けられていた。 「グアムまで各国から来る航空代も日本持ちです。だから、シップライダーたちがお金を使うのはお土産ぐらいです。これはもう、日本の虜になるでしょうね」(柿谷氏) 取材/柿谷哲也 文/小峯隆生