海自の「空母」いずも、西太平洋にて"いずも飯"で出撃セリ!
「米軍には『カラット』と呼ばれる、相手国と一対一で戦力を向上させる訓練があります。しかし、日本がいきなり他国にそのような戦い方を教えるのは、少し難しい。 そこで、法的な事を扱うことに目を向けました。国際法に基づく海洋法を中心にして、法的に海洋秩序を維持することをテーマに様々な会議が開催されました」(柿谷氏) 情報戦は一方的ではない。シップライダーとなった各国の軍士官、警察官たちは、自国の状況や文化を海自隊員たちに伝えて、交流は続いた。 そして、ここで"必中兵器"が登場する。 ■「"いずも飯"、撃ち方!」発射された第一弾は餅 お土産でもらった半被を粋に着こなしたシップライダーたちは、食堂に集結。「いずもフェス」の開始だ。そこで始まったのは、日本伝統の餅つき大会だった。 「外国人たちにとって、餅つきは珍しいんですね。みんな餅つきをやりたいと希望していたので、全員がやらせてもらっていました」(柿谷氏) ただ餅ができあがるだけでないのが"いずも飯"だ。 「できた餅は、シップライダーたちが給養員たちの指導の下、おはぎ、あんころ餅、きな粉餅など、自らの手で色々とアレンジするんですよ。これは好評でしたね」(柿谷氏) 海自隊員たちが考え抜いた演出だ。まず、餅で全員の気持ちと"いずも飯"を叩き込む。 「唯一、海軍のないラオスから参加したラオス陸軍のケット大尉は、おはぎの感想をくれました。『ラオスのカオニャオももち米で作られていますが、日本のもち米も粘りがあって驚きました。あんこと合せると不思議な味でした』と。 するとすかさず『いずも』の女性隊員が、『ラオスにも、もち米あるの?』と話しかけ、ケット大尉は『カオニャオは主食です』と答えていました。もち米から食文化の話へと、会話も広がっていましたね」(柿谷氏) シップライダーたちとの交流は万全だ。 ■"いずも飯"の第二弾はスイーツ "いずも飯"の第二弾は、全員を懐柔させる「スイーツ大会」だ。シップライダーを甘い物でもてなし、日本の虜(とりこ)にする。 「給養員長が、『ウチにはスイーツを作れるやつがいるんだよ。いま作っているから、楽しみにしていてね』と言って始まったんですよ。そうしたら、ディスプレイが何かキラキラ光って食器みたいなのを作って、その上に各種手作りスイーツが並んでいるんですよ。 そのスイーツを作った給養員に取材しましたが、『パティシエ』の資格を持っているという事でした」(柿谷氏) 海自艦艇にはさまざまな前職、資格を持つ者たちが集う。その人間の幅が航海を楽しくさせる。そして、ここから"いずも飯"は個別撃破に移行する。 この重要な作戦会議、『献立会議』が秘密裏に行なわれるのだ。