廣岡達朗コラム 「1年生監督が勝ったらサマにならない だから私は岡田阪神に勝ってほしい」
優勝は阪神、2位巨人、3位広島……
優勝は阪神、2位巨人、3位広島……最下位は中日。私は開幕前、そう予想していた。 理由は1年やそこらの監督に優勝されたら、これまでやってきた監督の意味がない。阪神の岡田彰布監督はオリックスで経験しているだけに、ほかの監督より一枚上というだけだ。 【選手データ】阿部慎之助 プロフィール・通算成績 阪神はここにきて振れてきた。しかし、一軍のクリーンアップを二軍へ行かせるのはよくない。一軍で復活させるべきところを、二軍へやったら素質が生きるという、あのやり方を他球団がマネしたらいけない。 甲子園球場100周年として阪神vs巨人戦が行われた。7月31日、平内龍太の投げたボールが森下翔太の頭部付近を2球続けて襲った。 私が見ていたころのメジャー・リーグでは、大谷翔平のような選手がああいう目に遭うのは日常茶飯事だった。3打数3安打を放った翌日には、監督命令で投手は背中の後ろに球を通す。当てられたほうも文句を言わずに一塁へ歩く。 私はアメリカで乱闘用の訓練をやっているのを見てきた。それだけに、ヤクルト監督時代、巨人・ジョン・シピンと乱闘になった場合を想定して対策を練った。シピンは内角球に対して投手を威嚇する傾向があった。三塁手の船田和英に「シピンが暴れたら行け」と命じたところ、「私より顔が怖い(一塁手の)大杉(大杉勝男)さんにも言ってください」。いざ乱闘になると船田は大杉の陰に隠れて行きやしない。結局、日本人は向かってこないと思っているから、シピンも脅かすのだ。
自分が好かれたいと思っている
今年は巨人の創設90周年にあたる。私は巨人が好きでプロ野球の世界に入った。巨人軍は教育が違う。厳しさが他球団とは比較にならない。そういう中で私たちは鍛えられた。 それを思うと現在の阿部慎之助監督は真剣みが足りない。自分が好かれたいと思っている。私が言いたいのは、好かれようが嫌われようが、やるべきことをやれ、その一点である。そうすれば勝てるのだ。選手の好き勝手にやらせていたら勝てるわけがない。 7月27日のDeNA戦(横浜)では阿部監督は杉内俊哉チーフ投手コーチのユニフォームの袖をつかんでマウンドへ行かせた。先発・井上温大が3回二死一、三塁で佐野恵太への初球、外へ大きく外したボールを問題視。なぜ自分で行かないのか。「あんな気の抜けた球を放って、どういうつもりだ」と監督が思っても、コーチがその意図を正確に伝達しているとは限らない。責任者が陣頭指揮を執らなければ誰もついていかない。