CS初戦の勝敗分けた阪神金本監督と横浜DeNAラミレス監督の采配力の違い
セ・リーグのCSファーストステージの初戦が14日、甲子園で行われ、阪神が2-0の完封リレーで横浜DeNAを下した。勝敗を分けたのはCSで初めて指揮をとる金本監督と、2年連続出場となったラミレス監督の采配力の違いだった……。 横浜DeNAのラミレス監督は、大事なCS開幕にエースの今永でなく、井納をもってきた。 「(去年の)CSで素晴らしい実績を残した選手をこの試合にという気持ちを強く持っていた」と、ラミレス監督は、昨年のCSで好投した5年目の31歳右腕の経験に賭けた。 だが、井納は、今季6勝10敗と大きく負け越し、対阪神には、7試合に投げて1勝4敗、防御率、4.19と打ち込まれていた。しかも、金本監督が、CSのキーマンに指名していた阪神の主軸の3番糸井、4番福留、6番鳥谷は、いずれも左打者。井納の今年の調子とセオリーから行けば左腕の今永だろう。 案の定、井納抜擢の奇策は裏目に出た。ラミレス監督は、「期待通りの内容だった」と評価したが、0-0で迎えた6回。先頭の糸井にフォークを一、二塁間に運ばれ、続く福留に右中間に決勝点となる2ランを浴びた。低目を狙ったストレートだったが、コースは、キャッチャー嶺井の構えたミットよりも、内側へ甘く入った。 「そういえば2014年もランディ(メッセ)が投げて6回に打ったと思いだしていた。最高の気分」と、福留は、CSでの下克上を果たした2014年のファーストステージ、第1戦の広島戦を重ね合わせた。その試合もメッセンジャーが無失点投球を続け、6回の福留のソロアーチが決勝点となり1-0で完封勝利している。 阪神OBでもある評論家の池田親興さんは、「6回2失点だから井納の抜擢は失敗だとは思いません。ただ、福留の打席は配球ミス。福留が真っ直ぐを待てるカウントにしてしまったのが間違い」と指摘した。 外を中心に、ストレート、ストレート、スライダーで、カウント2-1のバッティングカウントにしてしまい、福留がインサイドのストレートに絞りこめる配球だった。 横浜DeNAベンチの采配ミスは5回にもあった。 メッセンジャーに対して4回まで、2安打無失点に抑えられていたが、5回先頭の梶谷がセンター前ヒットで出塁。この試合、はじめて無死一塁のチャンスを作った。嶺井、井納、倉本と、下位打線に続く場面で、走者が足のある梶谷だけに、何かを仕掛けたかったところだが、阪神バッテリーに5球目に、ピッチドアウトをされると、思い切った策を講じることが難しくなった。2-2になってから焦れたようにエンドランのサイン。だが、梅野の好スローもあって最悪の三振ゲッツー。ラミレス監督はベンチで苦い表情を浮かべた。 一方、金本監督の采配は冴えた。 中3日で故障明けのメッセンジャーに先発を託して6回で球数が106球に達すると、7回からは、マテオをマウンドに送った。シーズン中の勝利の方程式は、7回桑原、8回マテオ、9回ドリスだったが、この大事な一戦で、その順番を変えてきたのだ。 「あの回は、クリーナップから始まる強力なところだったので、調子のいい方を先に出そうと。桑原が落ち気味だったのでマテオを先にいった」(金本監督)と、シーズン終盤に、桑原が調子を落としていたことも加味して、ロペス、筒香、宮崎と続く打順にマテオを指名した。