“うなぎ戦線” 格差拡大か 200円~1万円の攻防
女将は「うなぎ専門店は、夏場の稼ぎが経営を左右するんです。2009年に民主党政権ができてから、官民ともぜいたくできない雰囲気で経営は厳しかったけど、今年の夏のうなぎ商戦はいけそうですね」と、期待を膨らませる。 一方で、一般庶民の多くは、アベノミクスの恩恵をそれほど受けられていない。総務省が5月30日に発表した家計調査報告によると、2人以上の勤労者世帯の実収入は、今年4月は前年同月と比べマイナス7.1%。昨年10月以来、7か月連続の減少だ。消費支出は、1世帯当たり30万2141円で、3月と比べ実質13.3%も減少。財布のひもを引き締めている様子がうかがえる。 そうしたサラリーマンらの強い味方・牛丼チェーンが、今夏もうな丼を投入する。ただ、4月から消費税率が上がったこともあり、お値段は昨年よりも上がった。吉野家は、「鰻丼(うなどん)」 の販売を6月1日から開始。 税込み価格は並盛が730円で、昨年よりも50円値上がりした。また、すき家も5月28日から「うな丼」販売を始めたが、並盛で税込み799円。かろうじて700円台はキープしたとはいえ、昨年780円だったのと比べ、19円の値上がりだ。これらに対し、「庶民にとって50円の値上げは痛すぎる」「牛丼店で使うのは500円が限度」などの声が上がっている。 そこで、お手軽にうなぎの味を楽しめる商品が6月2日から発売された。永谷園(本社・東京都港区)の「超ふりかけ うなぎ」。希望小売価格208円(税込み)で、うなぎの蒲焼き風味を味わえるものだ。内容量は50グラム。同社の発表によると、「脂の乗ったうなぎと甘辛いタレを再現。山椒で味わいにアクセントを加えました」という。 上は1万円から下は200円。今夏のうなぎ商戦は、社会の様子を反映していると言えるのかもしれない。ただ、今年はうなぎ稚魚の豊漁が伝えられており、秋ごろにも幅広い消費者が、うなぎ価格低下の恩恵を受けられそうだ。 (文責・坂本宗之祐)