寛一郎、俳優デビューから7年で感じる変化「排他的だったのが、間口が広くなってきた」
■寛一郎とアイヌの数奇な縁
アイヌと和人の歴史を描いた映画『シサム』で主演を務めた寛一郎。2017年に俳優デビューしてから7年、近年、作家性の強い作品への出演が続いている寛一郎だが、俳優としてどんな変化を感じているのだろうか――話を聞いた。 【写真】28歳になったばかり 大人の色気も漂う寛一郎 映画『シサム』は、江戸時代前期を舞台に、アイヌと和人の対立を描いた時代物語。寛一郎は、交易のために蝦夷地に赴くが、ある事件からアイヌの村で生活することになった青年・孝二郎を演じているが、実は作品との不思議な縁があるというのだ。 「小学生のとき、当時通っていた塾のようなところの課外活動で、アイヌの集落に2週間ほど滞在する機会があって、とても記憶に残っています。なので、今回のお話をいただいたときは、すごく不思議な縁を感じました。さらによりいろいろなことを知るきっかけになればいいなと思って、ぜひやりたいとお伝えしました」。 物語の舞台は江戸時代前期。寛一郎演じる孝二郎も武家に生まれた次男坊で、帯刀している武士だ。しかし寛一郎は「江戸時代の話なのですが、そこで終わらない。僕が演じた孝二郎も(三浦貴大演じる兄・)栄之助にコンプレックスを感じているなど、現代にも通ずるようなテーマも内在している」と時代劇でありながらも、現代と地続きの物語であることは、キャスト・スタッフの共通認識だったという。 撮影は、アイヌと和人が共生してきたという認識を持つ北海道白糠町で多くの場面が撮影された。寛一郎は和人という設定だが、シカヌサシ役の坂東龍汰や、アクノ役の平野貴大、リキアンノ役のサヘル・ローズらはアイヌの役を演じる。 「現地には、アイヌの血を引く方々もいるのですが、その方々もほとんどアイヌ語はしゃべることができないそうなんです。そのなかで正確なアイヌ語をしゃべるのは相当困難な作業で。僕は元々アイヌの人間ではないという役なので、正しくないアイヌ語も正解になるのですが、坂東君たちは本当に大変そうでした。(イカシコトシ役の)藤本隆宏さんと坂東くんが長いアイヌ語でしゃべるシーンのOKが出たときは現場で拍手が起きたぐらいでした」。