ムファサとスカーの運命は必然だった? 尾上右近&松田元太が語る『ライオン・キング:ムファサ』
■オーディションは「怖い」
映画『ライオン・キング』の主人公シンバの父であるムファサの若き日を描いた『ライオン・キング:ムファサ』が20日に劇場公開された。動物たちの王国プライドランドを治め、民から尊敬と愛を集めたムファサは、幼い頃に両親と離れ離れになり、孤児になった過去を持つ。命の危機にさらされる中、ムファサが出会ったのが王の血を引くタカ(※若き日のスカー)。二人は血のつながりを超えた兄弟の絆で結ばれるが、『ライオン・キング』では宿敵同士となってしまう。一体二人に何があったのか…。今回クランクイン!は、超実写プレミアム吹替版声優としてムファサを演じる尾上右近とタカ役のTravis Japanの松田元太にインタビュー。 お互いをけんけん(右近の本名・研佑から)&げんげんと呼び合い、本物の兄弟のような絆を見せた二人に、初挑戦となった吹替えの仕事や、ムファサとタカの運命について話を聞いた。 【写真】尾上右近&松田元太の撮り下ろしソロショット ――オーディションで役をつかんだということですが、どんな風に合格を知ったのですか? 松田元太(以下、松田):ツアー中にメンバーと一緒に知りました。これまでもディズニーのお仕事にいつか挑戦したいなと思っていたし、声優のお仕事も挑戦してみたかったので、決まった時はすごくうれしかったです。メンバーはもちろん、ファンの皆さんが喜んでくれたのが、ものすごくうれしくて。なのでたくさんの方に見届けていただきたいです。 ――松田さんはTravis Japanのロサンゼルス公演の前にカリフォルニア ディズニーランド・リゾートにも行っていましたが、ディズニー声優として行くパークはどうでしたか? 松田:普通にいちファンとして楽しんじゃいました(笑)。でも、より身近に感じる部分はあったかもしれません。キャストさんには「日本でタカ役をするの!?」と驚いてもらったので、うれしかったです。世界のディズニーってすごいなと改めて感じました。 ――右近さんはいかがでしたか? 尾上右近(以下、右近):決まった時はカレーを食べていました。人の行き来が多くて、広くて、天井も高く、音も響く建物にいて、連絡をもらった時は「あっ」と声が出てしまったのですが、「あっ、あっ、あっ」と声が反響して…(笑)。情報解禁まではなかなか言うことができなかったので、家族くらいまでに留めて報告しました。 オーディションを受ける段階でも、なかなか人には言えなかったんですけど、(尾上)松也さんが『モアナと伝説の海』でマウイ役を演じていらしたので、オーディションの様子をやんわりと聞いたこともありました。その後、イベントで声優発表された後には、松也さんから「これでお前もディズニーファミリーだな」とメッセージをいただきました。尾上家という同じ家で育ってきて、これまでも松也さんがやってきたことを、僕が後から挑戦することが多かったので、僕にとっては兄貴のような存在です。 ――オーディションを受ける機会はお二人とも少なくなってきていると思うのですが、だからこその緊張はありましたか? 右近:舞台も歌舞伎もオファーをいただくので、僕はオーディションの経験がほとんどないんです。なので「絶対に受かりたい」という気持ちで、できるだけの準備をしました。でも、受けている最中はうまくいったと感じたのですが、帰り道にはもうダメかもしれない気がして…。結果が出るまでの期間すごくモヤモヤしていました。『ライオン・キング:ムファサ』の広告が流れた時は目をそらし、僕じゃない人に決まってから映画を見に行った時にきっと落ち込むだろうから、その場合のリスクマネジメントまでしました(笑)。オファーをいただく瞬間が一番幸せだと思っているのですが、オーディションを経ての出演決定は、もう一段階うれしさが違いました。 松田:僕もオーディションは受からないものだと思っていて、今までのドラマのオーディションを振り返っても、ダメなんだろうなと悔しさを覚えていました。今回のオーディションの準備は、あまりたくさんのことはできなかったのですが、曲をずっと聴いて、タカに寄せて歌えたらいいなと考えながら、自分なりのディズニー感やライオンみを入れてみようかなと試行錯誤しました。合格した時は自信にもなったし、良い経験ができました。それでもやっぱりオーディションは怖かったです。 ――ドキドキのオーディションを経て挑戦した収録は、初めてならではの新鮮さや発見はありましたか? 松田:ものすごく良い経験をさせていただいて宝物のような時間だったんですけど、口の動きのタイミングを合わせなきゃいけなかったりとすべきことがたくさんあって、自分の思い通りの仕上がりになっていないこともあり、「なんでできないんだ。全然ダメじゃん」と悔しい瞬間がたくさんありました。でもスタッフさんにいろいろとサポートしていただきながら、時間はかかってしまったんですけど、ぐちゃぐちゃになりながらも当たって砕けろで何度もトライしました。初めての経験だったのですが、見てくださる人がたくさんいると思うとそんなことは通用しないというか…。だからこそ「絶対に良いものを届けないといけない」という責任があるし、それを果たせたらいいなと思います。 右近:僕も難しいのと飲み込みの遅さがあって、当たって砕けて、何度もやり直す収録でした。秒数に追われて、最初はセリフをただ読み上げるだけになってしまって、画を見る余裕もなく、自分の感覚を出したり、力を抜いたりということもできない時間が長く続きました。それでも監督が付き合ってくださって。いつもお仕事の時には「呼んで良かった」と思ってもらいたい気持ちが強いのですが、今回もなんとかしてやり遂げたいという思いで挑みました。 ――ライオンならではの難しさがあったり?