多額の債務超過 横浜F・マリノスがJから消える?
2012年シーズンにJ1及びJ 2に在籍した全40クラブの年度決算が12日、Jリーグから発表された。単年度赤字となったクラブは、2011年度の「18」から「12」に、純資産の合計がマイナスに陥る債務超過のクラブも「11」から「9」に減少した。 単年度赤字のクラブはJ1でコンサドーレ札幌、鹿島アントラーズ、横浜F・マリノス、名古屋グランパス、ヴィッセル神戸、J2では栃木SC、ザスパクサツ群馬、カターレ富山、FC岐阜、ガイナーレ鳥取、アビスパ福岡、ロアッソ熊本。債務超過のクラブはJ1で札幌、横浜FM、神戸、J2では栃木、群馬、岐阜、北九州、大分、熊本となっている。 昨年2月から適用が開始されたクラブライセンス制度では、2012年度から三期連続の赤字あるいは2014年度末の時点で債務超過のクラブはライセンスを剥奪される。Jリーグから姿を消さざるを得なくなるわけで、記者会見に臨んだJリーグの大河正明管理統括本部長は「(制度適用)1年目の緊張感が多少なりともあったと思われる」と赤字及び債務超過のクラブが減少した点に一定の評価を示した。 リーグ戦の総入場者数が3年ぶりに800万人を超え、Jクラブの営業収入合計が過去最高の約773億円に達した。そうした状況下でJリーグから開示されたデータを紐解いていくと、クラブ経営に関しては明暗が鮮明に分かれていることがうかがえる。 ■横浜F・マリノスがJリーグから消える? 単年度赤字を計上した12チームの中で、額が突出していたのが横浜FMの6億2900万円だった。横浜FMはこれで3期連続の赤字で、赤字額も年々増加。債務超過も16億7700万円に達している。この状態が2014年度末までに解消されなければクラブライセンスを剥奪され、JFLへの降格を余儀なくされる。 J1王者に3度輝いた名門クラブが、なぜこのような危機に直面してしまったのか。大河本部長は赤字クラブに共通する一般論と断った上で、「最初に経費ありきの経営」を原因に挙げる。 「選手人件費などの経費を先に決めて、それに見合うように広告料収入や入場料収入を足し上げていくんですけど、前年や前々年の実績から『とてもそこまではいかないだろう』となるケースが多いんです」 横浜FMの2012年シーズンの人件費、つまり選手の年俸合計は前年比2億6000万円増の約16億100万円。J1全体では7位の年俸高だが、MF中村俊輔やDF中澤佑二、FWマルキーニョスらのベテランに高額選手がいて彼らの影響が大きい。チームの基本方針のひとつに「チームが上位争いをするために必要なレベルを維持する」があり、それに則った金額となったが、肝心の総収入が予算に大きく達しなかったことになる。 営業収入の内訳を見れば、広告料やグッズなどの商品、スクールなどの項目では過去最高額が記録されている。その一方で入場料収入は1200万円の微減。約7万2000人を収容するホームの日産スタジアムの入場率は、J1の18チーム中で最も低い36.8%にとどまっている。収入への見通しが甘かった、集客対策が不十分だったと指摘されても言い訳はできない。