多額の債務超過 横浜F・マリノスがJから消える?
「それほど難しいことではないのに、できているクラブとできていないクラブとがある。(赤字クラブの)社長の全員が海野さんや木村さんだったらねえ(笑)」 甲府自体はJ2とJ 1とを行き来する戦いを強いられてきた。通算3度目の昇格を果たした今シーズンは折り返しを目前に控えて14位とやや苦戦中だが、J1に定着していけば成功への階段をさらに上がることになる。 ■Jを代表するビッグクラブ・浦和レッズへの注文 冒頭でJクラブの営業収入合計が過去最高の約773億円に達したと記したが、J1だけに限ればピーク時よりも50億円ほど減っている。これは四期連続で営業収入が減少している浦和レッズの不振が大きく影響している。 浦和は2007年度に80億円近い営業収入を誇っていたが、2012年度では53億5300万円にまで目減りしている。2012年度の入場料収入は19億8800万円と依然として他のJ1クラブの追随を許さないが、ピーク時と比べると10億円近くのマイナス。平均で5万人を超えた埼玉スタジアムにおける平均入場者数が、今では3万人強にまで落ち込んでいることが最大の原因だ。 Jリーグは将来へ向けた成長戦略で、J1のビッグクラブとなりえるチームに「規模をさらに大きくして、常にアジア王者を獲れるような巨木」となることを要望している。ヴァンフォーレに代表される市民クラブの幹をさらに太くすること、来年に発足するJ3に代表される根っこの部分をさらに広く、深くするけん引するチームになってほしいからだ。大河本部長が理由を説明する。 「浦和を含めて、スタジアムの器が大きいクラブは、確固たるマーケットを持っていながら軒並み営業収入が減っている。これでは下に続くクラブにも悪影響を与える、という危機感を先の合同実行委員会でも伝えました。稼げるクラブがもっと引っ張っていかないといけない。J1のトップのチームがどれだけ大きくなれるか、なんです」 2012年度は結局、1億5100万円の黒字にとどまった。浦和の橋本光夫社長はJリーグに対して、今シーズンは「入場料収入で2億円から3億円の増収が見込める」と話しているという。2010年度に2億5900万円の赤字を計上したことで、以降は資本力を再び蓄えることに注力。内部留保もようようやく5億円台に復活した。 「内部留保が10億円近くになったら、次へ投資してほしい」 個人的な意見としながら、大河本部長はファンを呼び戻せる大物外国人の獲得に代表される積極的な経営に打って出ること、Jを代表するビッグクラブになる設計図を描くことを浦和の経営陣に望んでいた。 (文責・藤江直人/論スポ)