「年末くらいは海外旅行に行きたい」→「よそはよそ、うちはうち」…年金月28万円、妻のお願いを無視し続けて高卒叩き上げ・67歳夫が達成した“羨望の貯蓄額”【FPの解説】
変わりない毎日に感謝しつつも疑問を訴える妻
吉田さんは、その次の日から、再就職した会社へ出勤。それから7年の月日が経過しました。吉田さんは、職場こそ変わりましたが、現役時代と同じように節約し、ときどき家事をして柴犬の散歩に行く、という毎日を送っています。妻は、健康でいままでと変わりない毎日に感謝しつつ、なにか納得できない気持ちを感じていました。 「ねえお父さん、私の友達のAさん、定年後は毎年夫婦で海外旅行に行っているんだって。世界一周したいっていってたわよ。私も年末年始にハワイへ行ったりクルーズ船に乗ったりしてみたいわ」 「よそはよそ、うちはうち。これでいいんじゃないか?」吉田さんはそう返します。 「私、不満があるわけじゃないのよ。でもね、少しはゆとりというか、そういうものを考えてもいいと思うんだけど……」 「でもさぁ、これからまだ数十年暮らしていくんだよ。いくらかかかるかわからないじゃないか」 「もう、少しは私の話も聞いて!」 吉田さん夫婦が相談にみえたのは、そんな会話があってしばらくしたころでした。
老後に必要になる資金を整理してみると…
吉田さん夫婦の資産は以下のとおりです。 ●退職金……2,000万円 ●貯蓄……3,000万円 ●住宅・住宅ローン……一戸建て・60歳時に完済 ●老齢年金……夫婦で月額28万円 ●金融商品(株式、投資信託)……1,000万円 「す、すごいわね、お父さん」 初めて知った我が家の資産に妻は驚きを隠せない様子です。生活費は、老齢年金の金額内に収まることが多いそうです。お2人ともお仕事をなさっているので今後も貯蓄は増えていくと思われます。 今後の生活で必要になるお金は、どのようなことに使うお金でしょうか。想定される項目と金額を書き出して整理してみることをお勧めしました。 ●自宅の補修:500万円 ●車の買い替え:150万円、3回 ●孫が生まれたら教育資金を贈与する:長男、長女の家庭にそれぞれ500万円ずつ ●介護費用:不明 ●吉田さんが亡くなった後に妻が受け取る遺族年金:不明 ●葬儀:100万円ずつ ●お墓:不明 想定している使い道の金額は、総額2,150万円です。いまの段階でも3,850万円の貯蓄が残ります。今回、不明となっている項目がわかりました。ご夫婦のお考え次第ということになりますが、不明部分のおおよその金額がわかれば、それ以外のお金は老後のゆとりのために使ってもいいお金ということになるのではないでしょうか。そうお伝えしました。
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