現役引退 日本ハム加藤豪はユーモアあふれ気遣いの人
ユーモアにあふれ、常に明るく振る舞うのが日本ハム・加藤豪だった。報道陣との雑談にもいつもにこやかに応じている姿が印象的だった。現役引退の一報を聞き、少しさみしさも感じる。 気遣いの人でもあった。昨年から、外国人選手が報道陣にホームゲームの日曜日に「ミスタードーナツ」を差し入れてくれるのが恒例となっているが、それを始めたのが加藤豪だった。メジャーで行われている慣習だといい、穴の開いたドーナツを「0」に見立て。食べるとノーヒットがなくなる意味のようだ。昨年末には、「今年もお世話になりました」と短く書いたメッセージカードと、「ミスタードーナツ」のプリペイドカードをプレゼントしてくれたこともあった。そのプリペイドカードは、使わずに今も大切に財布にしまってある。 米国育ちでありながら、日本人。きっと、日米どちらの国にいてもこれまで慣れないことやつらいことが多かったと想像する。それでも野球を通し、加藤豪にしかできない経験を得てきただろう。どんなステージに進んでも財産としてほしい。 日本ハムの入団会見で、加藤豪はメンタルコーチに掛けられた印象的な言葉としてこう言った。「The man who loves walking will walk further than the man who loves the destination(歩くことが好きな人は、ゴールを目指している人よりも遠くに歩ける)」。選手としての区切りは付けることになったが、人生は長い。どんな目的地を目指し、どんな場所にたどり着くのか、ひっそりと応援したい。(田中 健人)