山崎賢人のマイルール「頭は常にクールで」 経験が結実した安倍晴明役
終盤は、怒濤のアクションになだれ込む。博雅が密かに思いを寄せる徽子女王の周辺で起きる怪奇現象に、博雅と共に立ち向かう晴明は、朝廷を揺るがす大事件に巻き込まれていく……。山崎は、「今回は相手を倒すのではなく、“いなしていく”アクション。これまでとは別種のアクションなので、アプローチも全く違いました。どこか人間の動きではないような、舞っているような動きを目指して。アクション監督の園村健介さんが、(フィギュアスケーター)羽生結弦さんの演目「SEIMEI」からインスピレーションを受けたというのも面白いなと。僕もそれを見て無重力感を意識しました」と新たな挑戦の撮影裏を明かす。さらに、「これまで、力の入ったアクションをやって来た経験値があるからこそ、自分の中で何となく抜き方がわかるというか。どんな経験も生きているな、と実感しました」と精悍な表情を見せる。
本作のように燃えたぎる思いをポーカーフェイスの下に隠して淡々と目的に近づいていく役もあれば、全身から感情を爆発させてアクションに乗せる役もある。そんな山崎には撮影現場で常に心がけていることがあるという。「感情的なお芝居をする時であっても、頭はクールでいること。特にアクションシーンでは、状況を客観視していないと危険も引き起こしかねない。気持ちやハートは熱く燃えているけれど、頭はクールに。それはアクション以外の普段のお芝居にも生きるので、常に心掛けています」
役づくりにはとことんストイックな彼だが、一方で「それ、実は誰かに言われた言葉ですが、誰だったかは忘れてしまって(笑)」とぶっちゃける、おおらかで飾らない人柄も覗かせる。「でも演技以外でも、何か物事を成し遂げる時すべてに共通して言えることだと思いません? 感情はブチ切れているけど、頭はクールに淡々と。ね?」
そうチャーミングに語る彼の姿から、軽々と役をモノにする秘訣の一端が垣間見える。『陰陽師0』における晴明の姿に、この不安な時代の闇や災厄を振り祓うかのような、清々しさと憑きものが落ちたような軽やかさを感じるハズだ。(取材・文:折田千鶴子)