運動科学の第一人者が発見……大谷翔平とイチローの身体に備わった「知られざる共通点」
野球、サッカー、ラグビー、陸上……、スポーツ競技は数多あるが、各分野で頂点に君臨する選手は、なぜあれほどまでに動けるのだろうか。精緻にコントロールされたプレーは、どこから生み出されているのだろう。彼らの身体に共通して備わっている、ある「能力」がポイントだと指摘するのは高岡英夫氏だ。ロングセラー『究極の身体』の著者でもある運動科学者が、大谷翔平とイチローを取り上げて行った独自分析を、最新刊『レフ筋トレ 最高に動ける体をつくる』から紹介する。
レフパワーを身につけたアスリートたち
およそアスリートは、それこそアマチュア選手から一流のプロ選手まで、独自のトレーニングを積み重ねているものです。トレーニング方法というのは一種の機密事項であり、通常、その最も優れた部分が公開されることはありません。しかし、私のような運動科学の専門家は、その選手がどんなトレーニングを積んでいるか、その重要部分をほぼ見抜くことができます。 この章では数多(あまた)いるアスリートのなかから、わたくしが「レフ筋トレ」と呼ぶ、脳と高度な統合的関係性をもった優れた筋肉をつくるトレーニングを実践していると思われる一流選手をとりあげて、その身体と意識について論じてみたいと思います。 彼らは実践するトレーニングをほとんど公開していませんし、「自分はレフ筋トレをやっている」と表明したわけでもありません。ですが、その身のこなしや言動から見てて間違いなく日々、レフパワーを鍛える努力をしていると推定できる選手たちです。 おそらくトレーニングや競技練習の一環として、私が提唱する「レフ筋トレ」と同じ意味と効果をもった筋力の強化策(たとえばレフな筋トレ)を実践していることは間違いありません。そのような、レフな筋力強化によって能力を向上・開花させたと思われるスポーツ選手としては、 ・イチロー ・大谷翔平 ・ウサイン・ボルト ・大橋悠依 ・内村航平 といった人物を挙げることができます。私の著書『レフ筋トレ 最高に動ける体をつくる』では、そのうちの3人(イチロー、大谷翔平、ウサイン・ボルト)にフォーカスして論じました。この記事でも彼らにフォーカスしてみましょう。