赤鳥居が鎮座する店内には…鋼鉄製の牢屋から、ホルマリン漬け解剖標本まで!1000点超の“宝物”が集まる「奇貨屋白昼夢」の異世界
昭和レトロを彷彿とさせる道具類、古い看板、キラキラしたアクセサリーや可愛い小物、あるいは江戸時代の火消しに使われた「龍吐水」といった古道具があるかと思えば、ホルマリン漬けの解剖標本や骨格模型などが並ぶ。周囲は典型的な下町の住宅街でありながら、店内はまるで異世界の雰囲気が漂う。 【写真】赤鳥居にかけられた天狗の面、その向こうには… 大阪市阿倍野区で古物店「奇貨屋白昼夢」を営む、稲葉崇さん由夏さん夫妻に聞く。
赤色を基調にした内装は神社のイメージ
店の外観は、ごく一般的な古物店といった佇まい。だが一歩中へ入ると、周囲とはまるで違う世界観に包まれる。店内のほぼ真ん中に、崇さんが友人につくってもらったという鳥居が鎮座し、入り口側に真っ赤な顔をした天狗、奥側にはおたふくの面がかかっている。これだけで、すでに充分な異世界感だ。 入って右側にカウンターがあり、その向かい側の壁には、昭和世代には懐かしいカセットテープが、まるでタイルのように敷き詰められている。これも商品だ。カセットテープのマニアが来店し、一瞥すると「あのテープはレアものだ」と目ざとく見つけたテープを買っていったこともあるという。 鳥居の奥には、人間が立った姿勢でやっと1人入れるくらいの、鋼鉄製の「牢屋」が控えている。崇さんによると日本製とのことで、足元は座ることもままならないほど狭い。犯罪者に人権などなかった時代に、懲罰か拷問に使われたのかもしれないと想像をめぐらせた。 さらに奥へ進むと、江戸時代の火消しが使った「龍吐水」がある。崇さんが実際に動かして見せてくれたが、動きが滑らかで状態は非常に良い。 ほかにも旧日本軍が銃剣術の訓練に使ったと思われる木銃、フイルムカメラ(ジャンク品)、医療器具、鹿の毛皮の敷物、いつの時代のものか分からない助産婦の看板などのほか、アクセサリーや小物類など、じつにバラエティーに富む1000アイテムを超える品が並んでいる。 奇貨屋白昼夢では買取も行っているが、このような品物を、どんな人が売りに来るのだろうか。 「たとえば鹿の本物の頭部骨格は、30歳くらいの、ふつうの女性がもって来られました」