目立つ「総務省出身」知事 全国で13人 早稲田塾講師・坂東太郎の時事用語
舛添要一氏の辞職に伴う次の都知事選の候補に、ジャニーズの人気グループ「嵐」の櫻井翔さんのお父さんである俊氏の出馬が取り沙汰されました。本人の固持を受けて実現しませんでしたが、俊氏が務めていた総務省という中央官庁は多くの知事を生み出しています。なぜなのかを考察してみます。 【写真】人気グループ嵐の「櫻井パパ」が就任する事務次官とは?
一時は「櫻井パパ」も浮上
総務省は2001年の省庁改編で自治省、総務庁、郵政省が合併して誕生しました。自治体首長が多いのは旧自治省系です。理由は後述します。ちなみに櫻井氏は旧郵政系で、総務省の事務次官まで上り詰めました。 都知事が二代続けて「政治とカネ」の問題で辞めたので、次の候補は何よりクリーンなイメージがほしい。官僚にはそれがあって(というより政治家出身が怪しまれすぎている)、役所の実務に精通してもいるというのが櫻井氏擁立側には魅力でした。もっともそれだけでは他の府省官僚も同じです。 今さらいうまでもないですけど俊氏の最大の魅力は「櫻井クンのパパ」でした。何しろ東京都の有権者は1千万人を超え、過去の選挙をみても200万票前後を獲得しないと当選できません。各党各陣営の組織をガチガチに固めても及ぶ数字ではなく知名度がものをいいます。普通だと「親の知名度」を指すのに対し、俊氏のケースは「子の知名度」。でも知名度には変わりないという身もふたもない理屈が一つ。放送局の免許を握る情報通信畑が長い大立て者であるに加えて厳しい批判も「櫻井パパ」ゆえにされにくいという憶測も飛び交いました。 また俊氏は、現在官邸を切り盛りしている菅義偉官房長官が第1次安倍晋三内閣で総務相を務めていた2007年に部長から大臣官房総括審議官(局長級)へ引き上げられるなど関係も良好のようです。
群を抜く旧自治省、近年は旧通産省も
というわけで櫻井俊氏の擁立劇は多分に特殊な要因が含まれていました。では「ふつうの総務官僚」から知事になる経緯はどうでしょうか。 現在、不在の都知事を除く46道府県で旧自治・総務省出身の知事は13人もいます。自治省の流れを汲む総務省自治行政局、自治財政局、自治税務局も力の元です。 猛追しているのが経済産業省(旧通商産業省を含む)で8人。企業誘致など産業の振興を求める地方の期待が背景にありそうです。現在は旧自治省系がやや減って経産省が勢いを伸ばしている状況といえましょう。 ちなみに、新たに擁立が取り沙汰されている増田寛也氏は旧建設省出身で、第1次安倍改造内閣と次の福田康夫内閣で総務相を務めています。