【サーキット編】イギリス人レーサーがスズキGSX-8Rを斬る「GSX-R不在の時代だが、8Rでも存分にサーキット走行を楽しめる」
最高出力80馬力、1000mのストレートでは最高速215km/h
イギリスのモーターサイクルジャーナリストで、マン島TT参戦経験もあるレーシングライダーのアダム・チャイルド氏による最新バイクインプレッション。 今回は、2024年モデルとしてデビューした775cc並列2気筒のフルカウルスポーツ・GSX-8Rをスペインの試乗会でテスト。 ネイキッドのGSX-8Rをベースとしたモデルであり、一見、ストリートやツーリング寄りのキャラクターに思われるが、サーキットでは意外なパフォーマンスを発揮したという。 以下、【ストリート編】に続き、チャイルド氏のレポートを紹介する。 【画像】スズキ新型GSX-8Rを写真で解説、全カラーバリエーションも紹介 サーキット走行ではどうだったか。1000mに近いストレートが続くスペインのモンテブランコ・サーキットは非常に高速で、ストレートではラップ毎に210km/hから215km/hをマークした。 そんな高速サーキットでは、GSX-8Rはやや力不足かと不安にもなったが、タイトなインフィールドセクションでは、2速、3速、4速とギヤを駆使すると力強い走りを見せる。そうした状況ならAモードが真価を発揮する。しかし路面状況が不安定なら、開け始めが穏やかなBモードが適している。 GSX-8Rのエンジンは、サーキットでも存分にそのパフォーマンスを発揮し、ライダーにエキサイティングな走りを味わわせてくれる。それでいてライダーは疲れることもなければ、パワーに圧倒されることもない。だから走行ラインを自在にコントロールできる。 クイックシフターは高回転域でもスムーズに作動するが、レース仕様ではないため素早くシフトダウンするときにはクラッチを使った。前述したとおりトラクションコントロールはバンク角応答式ではないが、確かな性能を持ち合わせている。 そもそもGSX-8Rの長めのホイールベースで安定性があるし、サーキット用に用意された試乗車のタイヤはさらにスポーティなダンロップ製スポーツスマートTT(*)へ換装されてグリップ力がアップしていたから、トラクションコントロールをオフにして走るほうが楽しかった。 *編集部注:スポーツスマートTTは海外で販売されるハイグリップスポーツタイヤ。一方、純正装着されるロードスマート2はスポーツツーリングタイヤという位置づけだ。 ブレーキシステムもGSX-8Sと同一で、フロントは310mmダブルディスクとニッシン製4ピストンキャリパーを組み合わせる。トラクションコントロール同様、ABSはバンク角応答式ではなく、カットオフはできない(ヒューズを取り外せば話は別だが)。 GSX-8SのKYB製からショーワ製になった前後サスペンションやセパレートハンドルで、ライディングポジションはよりスポーティになった。ライダーの位置が前方に移動したことでフロント荷重が増えたため、GSX-8Sよりもアグレッシブにライディングできるようになっている。サーキット走行を存分に楽しめる変更だ。