企業からオファー「スカウト型」就活 採用したくなる学生の「強み」とは
学生から企業にアプローチする従来の就職活動とは逆に、企業から学生にオファーを送る「スカウト型」の就職活動・採用活動が増えています。企業は学生の経歴や自己PRから何を読み取り、何に魅力を感じるのでしょうか。スカウト型就活サービスの提供会社に、企業が採用活動で注目する学生の「強み」とは何かを聞きました。 【グラフを見る】スカウト型や逆求人型のサービスを利用している企業
これまでの就職活動では、学生から企業にアプローチをする方法が主流でしたが、最近はここに「スカウト型」と呼ばれる新たな方法が加わり、広がっています。スカウト型の就職活動とは、学生がプロフィルや自己PRなどの情報を登録すると、興味を持った企業から会社説明会や面接の案内が直接届くというもの。言わば従来の就職活動とは、逆の仕組みです。 リクルートの就職みらい研究所が新卒の採用活動を対象に行っている調査によると、スカウト・逆求人型サービスを活用している企業はこの4年間で急増し、2024年卒の採用活動では3割近い企業が導入したと回答しています。 スカウト型就活サービスでは、学生のどのような「強み」が評価され、企業からのオファーにつながっているのでしょうか。スカウト型の就活サイト「OfferBox(オファーボックス)」を運営するi-plug(アイプラグ)の中野智哉代表は「何を強みと考えるかは、企業によって異なります。特定の強みを持つ学生にのみオファーが集中することは、ありません」と話します。 「24年3月卒の登録者に対しては、約1万7000社から合計700万件のオファーが届きました。企業が学生を検索する際に指定する条件は、専攻、部活、保有スキル、希望職種、希望勤務地などいくつもありますから、自身のプロフィルをしっかり記載すれば、まったく検索に引っかからないとか、1件もオファーが来ないということは、まずないと思います」
失敗も強みに
プロフィルなどの登録ページにさまざまな情報を掲載できることも、 OfferBoxの特徴です。なかには写真や動画を効果的に使い、オリジナリティーあふれるプロフィルを作る学生もいますが、「すべての企業が一見して面白いプロフィルが書ける学生を求めているわけではありません。なかには誠実な人柄が表れた素朴な自己紹介文に好感を持つ企業もあります」と中野代表は言います。 「何が強みと受け取られるかわからないからこそ、プロフィルや自己PR作りは取りつくろわずに、オープンマインドで臨むことが大切です。企業が知りたいのは、部活でいい記録を出したとか、バイトリーダーを務めたなどの実績よりも、それらの活動に取り組む中でどのような経験をして、何を考えたかということ。一見すると就職には結びつかないユニークな研究に取り組んできた学生ならば、『なぜこの分野を学ぼうと決意するに至ったのか』、浪人経験がある学生ならば『志望校に合格できなかったことをどう受け止め、合格に向けて何をしたのか』を企業は知りたいのです。本人にとっては何げないエピソードや、失敗だと感じている経験が、その人ならではの強みとして評価される可能性は大いにあります」