エヌビディアの決算発表から見えたこと 2025年は厳しい1年に?
米半導体大手のエヌビディアが四半期決算を発表した。業績は好調にもかかわらず、株価の反応は冴えないのはなぜなのか。各紙の報じ方をまとめた。 【画像】今後のエヌビディアの鍵を握る次世代AI半導体「ブラックウェル」
好調なエヌビディアの決算
米半導体大手のエヌビディアが2024年の第3四半期決算を発表した。AIブームによってエヌビディアの株価が前年比で3倍に上昇、時価総額は世界首位となり、相場全体への影響も大きいことから、決算内容への注目も高まっている。 エヌビディアが発表した2024年8~10月期の決算は売上高が前年同期比94%増加の350億8000万ドル(5兆2620億円)、純利益は約2倍となる193億ドル(2兆8950億円)となり、四半期ベースで過去最高を更新。いずれも市場予想を上回った。 また、2024年11月から2025年1月期の見通しも市場予想を上回った。次世代AI半導体「ブラックウェル」の出荷を開始する見込みであることも発表している。 順風満帆なようだが、この決算発表後の株価は冴えない動きだった。それはなぜか? エヌビディアの決算からどんなことが見えてくるのか。
株価の反応が冴えないのはなぜか
米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」によると、エヌビディアが今回発表した業績見通しには、次世代AI半導体「ブラックウェル」の量産出荷が折り込まれているものの、同製品がどれだけ早く売上高に貢献するかは不確実性が残る。また、実際に、顧客となるテック大手が生成AIサービスをどれだけ早く採用するかにも左右される。 仮に生成AIサービスを早く採用しても、大手テック企業がエヌビディアの半導体を活用するシステムを備えるかも不透明だ。また、それに対応するためにデータセンターを構築し、充分な電力を供給する必要もある。 英「フィナンシャル・タイムズ」紙によると、S&P500種株価指数の7%を占めるようになったエヌビディアの決算に市場が敏感になるのは当然だという。「世界のほぼすべての企業がエヌビディアのサプライチェーンに関係している」というフアンCEOの言葉からもその影響力が伺える。 エヌビディアの次世代AI半導体の需要はすでに「数十億ドル」という予想を上回る。サウジアラビアからデンマークに至るまで、各国がAIプロジェクトを推進しており、エヌビディアへの依存度は高まるばかりだ。エヌビディアをめぐる好循環は続くだろう。 一方、エヌビディアの株価は予想利益の34倍まで高まっている。かつてドットコムバブルで高騰したシスコシステムズの株価は、バブル崩壊後に急落し、二度と回復していない。 エヌビディアの顧客はAIの「可能性」に賭けて半導体に巨額を支払っている一方、実際に顧客やその先の最終顧客がサービスに見合う価値を提供できるかは未知数だと、同紙は指摘している。
COURRiER Japon