「とっておきを1つ」話すよりも「3つ」用意して伝える…相手との距離感が縮まる話し方のコツ
説明は15秒CMで
好きなことについて話したり、とっておきの情報を話すときは、どうしてもテンションが高くなって、あれこれ教えたくなります。 ですが、たくさん話す必要はありません。重要なのは、「短く話す」ことです。何かを説明するときも、1分、2分ではなく、15秒CMのつもりで話すのです。 たとえ、それほど面白い話でなくても、それが短ければ、聞く側は何とか耐えられるわけです。しかし1分を超えると飽きてきます。話は短いほうがいいのです。 たとえば最近はじまったテレビドラマの話題であれば、どこが面白かったかを、番宣のように15秒とか30秒程度で軽く紹介すれば十分です。
大事なのは、内容よりも「3つ」ということ
このときのコツは、おすすめポイントを3つ入れること。「なんでもベスト3」に続き、ここでも「3つ」で勝負です。話の中に根拠が3つあれば、相手も納得しやすいのです。 私が勤務する「明治大学」を例に、ちょっとやってみましょう。 「私は明治大学をおすすめします。何がいいかというと、長い伝統があり卒業生がとても多いので、どこに行っても知り合いやOBがいます。NHKの朝ドラ『虎に翼』のモデルになった三淵嘉子さんも卒業しています(根拠1)。また、本の街の神保町が近いので、大学の周りが知的な雰囲気です(根拠2)。そして何しろ学生の元気がいい。『前へ』というスローガンを共有しています(根拠3)。そこが一番です。よろしくお願いいたします」 こんな具合です。うまくつなげずに延びたとしても、1分以内で収めることを目標にしましょう。 おすすめポイントを何にするかは、あまり気にする必要はありません。内容よりも、三つという数にこだわりましょう。そして手短に話す。これを意識してください。 写真/shutterstock
---------- 齋藤孝(さいとう たかし) 1960年静岡生まれ。東京大学法学部卒。同大学院教育学研究科博士課程を経て現職。『身体感覚を取り戻す』(NHK出版)で新潮学芸賞受賞。『声に出して読みたい日本語』(毎日出版文化賞特別賞、2002年新語・流行語大賞ベスト10、草思社)がシリーズ260万部のベストセラーになり日本語ブームをつくった。著書に『いつも「話が浅い」人、なぜか「話が深い」人』(詩想社)、『大人の語彙力ノート』(SBクリエイティブ)、『話がうまい人の頭の中』(リベラル新書)等多数。著者累計発行部数は、1000万部を超える。テレビ出演多数。 ----------
齋藤孝