前園氏「個で勝てないから組織で勝つ」という前提は捨てるべき
決勝トーナメントの戦いが繰り広げられているサッカーのワールドカップ(W杯)ブラジル大会。残念ながら日本はその舞台にはいない。攻撃的なサッカーを掲げながら、W杯という大舞台で「自分たちのサッカー」を十分には発揮できないまま、グループリーグで敗退してしまった。日本はこれからどんなサッカーを目指してどう戦うべきなのか。元日本代表のサッカー解説者、前園真聖氏に聞いた。
今後、日本が世界で戦っていくためには、「個」を強くすることが不可欠だという。前園氏は「今回はっきりわかったことは、世界レベルでみると一人ひとりの技術は全然追いついていない」と分析する。 Jリーグなど、いま自分がいる場所で所で意識的に上げていくこともできるが、より厳しいレベルの海外ででプレーすることも選択肢の一つだと薦める。「プレッシャーだったり、寄せの早さだったり、フィジカルやスピード、こういうことは海外でしか経験できない。Jリーグと海外のレベルは全然違う」。 また、海外に身を多くことでスキル的な部分だけでなく、いろんなプレッシャーがある中でメンタルの強さも身につくことも重要だと語る。 ただ今回、本田(ACミラン)や香川(マンチェスター・ユナイテッド)がビッグクラブで十分に試合出場機会に恵まれず、必ずしも万全のコンディションでW杯に臨めなかった現状もある。しかし「だからといって、中間くらいの出られるクラブでというは違う」という。 「個」に対する日本特有の考え方にも疑問を呈する。「日本のサッカーの考え方には、世界で『個で勝てない』から『組織で勝つ』というのが前提にある。そういう考え方を変えるべきだと思う」。そうしないと本当の意味で「個」は育たないし強くならない、と力を込める。 今回の日本の3試合についても「やっぱり個の部分で負けてしまうと試合は終わってしまう」と振り返る。「個が育たないと当然、組織もレベルアップしない」。前園氏は、組織としてチーム力を上げるためにも、その前提となる「個」の世界レベルでの強化が重要だと語った。