戦火に揺れるキーウ、14歳少女のふさいだ心を救った日本のロリータ・ファッション
最年長と思われる30代の女性は、もともとはヴィンテージ・ファッションが好きで、古着屋めぐりが大好きだったという。ヴィンテージを突き詰めてクラシックなスタイルを求めるうちにロリータに行きついた、という。同じく彼氏もロリータに理解があり、ヴィンテージ・ファッションを好むということだった。 ■ アイテムはメルカリで購入 驚いたのは半分近くの子が日本の服を着ていたことである。「BABY,THE STARS SHINE BRIGHT」、「Innocent World」、といったブランドが人気だという。特にBabyは最高峰ブランドとして非常に有名で皆の憧れのようだった。 どうやって日本の服を手に入れているのだろうか? 聞けば、オーストリアなどのヨーロッパのインターネットサイトで日本のロリータ服の中古を販売している店があり、そこから購入しているという。 「これと同じのを買ったの」と見せてくれたのは350ドル、2024年10月現在のレートでいうと5万円以上だ。加えて送料もかかる。 キーウは格差が大きい町だ。平均月収を考えるのは難しい。しかし、フルタイムワークだと月収400ドルくらいが目安になるという。一人暮らし用の部屋を借りるなら250ドルくらいと言われている。その中で350ドルの服はかなり高額ではないだろうか。皆仲良くしているが、親の財力が物をいう空間だな、と思ってしまった。 大学で日本語を学んでいるという子は、なんとメルカリで服を買っているという。日本にあるウクライナに配送してくれる業者に送り、そこからウクライナに発送してもらうのだそうだ。キャラクターの「ちいかわ」が好きらしく、ネイルもスマホカバーも「ちいかわ」だった。来年から日本の大学付属の日本語学校に留学することが決まっており、日本で大学進学を目指すという。 美術館をゆっくり鑑賞してお互いに写真を撮り合った後、彼らはギョーザ・カフェに食事に行った。何人かは、日本のファッション雑誌を持ってきており見せあって勉強するのだそうだ。筆者はさすがに疲れてしまったので帰宅することにした。 ミラナによれば、今年に入り急速にキーウではロリータ・ファッションが広まっているという。以前は海外のネットサイトで買うしかなかったが、現在はウクライナのネットストアができて買いやすくなったという。「そのうち実店舗もできるかも!」と声を弾ませた。
谷川 ひとみ