世界初“iPS角膜シート”で変わる未来 重い「心不全」治療へ“心筋球”の可能性
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iPS細胞の最新研究です。脳や眼などで研究がかなり進んでいます。もう遠い未来のことではなく、実用化まであと1歩のところまで来ている治療現場の最前線を見ていきます。 ■世界初“iPS角膜シート”で視力 劇的回復 こちらの研究室ではiPS細胞を使って、目の重い病気を治そうとしています。 (大阪大学 眼科学 西田幸二教授)「これが“角膜シート”です。iPS細胞から作ることができるようにしたのは我々が世界で初めてで、10年経って人に移植できるようなレベルまで作り込むことができるようになったと」 iPS細胞は体の様々な細胞に変化できるため、万能細胞とも呼ばれています。 (大阪大学 眼科学 西田幸二教授)「これはまだiPS細胞を変化させる前のもので、これを目の細胞に変化させてやると…」 これはiPS細胞が目の細胞に変化する様子です。眼球の組織ごとに分かれていき、左から3番目の層が角膜の細胞で、これを培養して先ほどの“角膜シート”を作ります。 臨床研究として、この“角膜シート”を目の角膜が濁り、視力低下や失明の恐れがある病気の患者ら4人に移植し、いずれも視力の回復に成功しました。 (大阪大学 眼科学 西田幸二教授)「症例1の場合は、術前のこの状態が0.03であるのに対して、術後が0.3まで回復している。今までの(通常の)角膜移植では治すことができない患者さんだったので、患者さんにとっては非常に福音ではないかなと」 (角膜シートを移植 50代の患者)「(移植前は)白いまな板で白い物を切ると見えなかったり」 実際に移植を受けた50代の患者は―。 (角膜シートを移植 50代の患者)「(移植後は)明るさも違うし、見え方も違うから、私みたいに不安を抱えたり、失明なるかもと思っている人が、少しでもそれをやって違うという思いをしてくれたら」 ■「重い心不全」治療へ“心筋球”の可能性 iPS細胞によって、命の危機から救われた人も―。先月の祭りで神輿を担ぐ岡村さん、68歳です。約2年前、重度の心不全と診断されました。 (重度の心不全と診断 岡村勇さん(68))「3分ぐらい歩くと息切れしちゃって、ドクターが初めてこんな悪い心臓見た。17%しか動いてないって、15%以下だったら心臓移植しかないって」 その岡村さんをここまで回復させたのはiPS細胞から作られた心筋細胞の力です。 (慶応大学 福田恵一名誉教授)「心筋細胞の塊、“心筋球”になります」 よく見ると、心臓のようにゆっくりと脈打っていることが分かります。 こちらは慶応大学の福田名誉教授が立ち上げた医療ベンチャー「Heartseed」社。 ここでは“心筋球”を、心臓の細胞が死んで弱った部分に注射器で移植し、心臓の収縮する力を取り戻すという“世界初の治験”が行われています。 (慶応大学 福田恵一名誉教授)「心筋細胞の一番の弱点は一度失われてしまうと、それが再生することがない。心筋細胞を補填することで、心臓の筋肉の収縮の強さを増していく。全く新しい概念の治療というのを開発してきた」 これは“心筋球”を移植する前と後の映像。移植前は心臓が収縮する力が弱いことを示す青色が目立ちますが、移植の半年後には、収縮する力が強い赤色が増えたことが分かります。今後は2027年の国の承認を目指すとしています。 ■大阪万博 動く「ミニ心臓」展示へ 実用化に向け、iPS細胞を安定供給する取り組みも始まっています。 山中伸弥教授が理事長をつとめる「iPS細胞研究財団」では、iPS細胞を大量に製造し保管。大学など非営利機関には無償で、企業にも1株5万円から提供しています。 日本発のiPS細胞は、大阪・関西万博でも目玉の一つに。大阪大学の澤特任教授らのグループがiPS細胞から作った、脈打つ「心筋シート」や「ミニ心臓」が展示される予定です。 12月15日『有働Times』より
テレビ朝日