北海道・恵庭市遠藤牧場訴訟「自分たちで買い物もできなかった」原告のひとりが初出廷 今後は協議のうえ本人が陳述の可能性も
自由なき生活...「ディズニーランドに行きたい」
弁論の終了後に開かれた報告集会。弁護団とともに、出廷した佐藤さんも同席した。佐藤さんは2001年から22年末までの約20年間にわたり、牧場の仕事に従事していた。 佐藤さんは「緊張した。(牧場側から)『悪いことをされた』と知ってほしかった。初めの頃は顔を出したいとは考えていなかったが、裁判が続く中で激励の言葉をかけられることもあり、皆の前に出る決意をした。(これまでの裁判はすべて傍聴席から見ていたが)何とも言えない感情になった」と話し、「自分たちで買い物もできなかった。自由がなかったことが一番つらかった。被告側は正直に話してほしい」と心情を明らかにした。 続いて中島弁護士は、裁判が始まってから1年となり「『弁護士だから正義を振りかざしている』などの意見も見かけないわけではなかった。でも、実際は本人が『自分から伝えたい』と言い出してこのように面前に出ている。これはとてもありがたいことで、1年を通じてさまざまな方と対話する中で、本人がそう考えた。そこに対して感激しているし、これからも一緒に頑張っていければ」と振り返った。 なお佐藤さんは、記者からの質疑応答で裁判に勝ったら何をしたいかを聞かれた際、「東京ディズニーランドに行きたい」と答えていたのが印象的だった。 次回の裁判期日は、来年2月21日となった。記者団の取材に中島弁護士は「本人と協議のうえ、(可能であれば)佐藤さんや近隣の方で協力していただける方のほか、事業所、市に近い人の陳述ができれば」との考えを明らかにした。仮定の話だが、佐藤さんが自らの思いを述べる日も近いかもしれない。 小林英介(こばやしえいすけ) 1996年北海道滝川市生まれ、札幌市在住。ライター・記者。北海道を中心として活動、社会問題や企業・団体等の不祥事、交通問題、ビジネスなどについて取材している。
小林 英介