身近なCMソングで運営 西浦達雄が若手育成の無料ライブ
かみじょうたけし「うれしくて引き受けた」
かみじょうたけしといえば、松竹芸能所属の芸人。人気テレビ番組「アメトーク」(テレビ朝日)の「高校野球大好き芸人」としても登場したり、板東英二氏のモノマネなどで知られている。
「僕が西浦さんと会ったのは甲子園球場の真ん前です。西浦さんがフリーライブしてるのを普通に観にいってたら、突然『高校野球といえば、僕より好きな人がココにいます』と言いながら僕をいきなり紹介してくれて。こんなことってありますか」と、初対面時の様子を話す、かみじょうたけし。だが、高校野球ファンにとって、西浦の曲は欠かせないもの。声をかけられたときは驚きと同時に、うれしさがこみあげてきたという。 そして、このライブの話を受けたときは、すごくうれしくて引き受けたとか。構成には放送作家で、最近、著書「最強のコミュニケーション ツッコミ術」が書店でランキング入りするなどして話題の村瀬健さんが担当することに。そして、短大や専門学校で講師も務める西浦が、教え子のバンドを誘い、かみじょうも、野球好きの後輩芸人を誘ってメンバーはすぐに集まった。
街の書店など、ライブで流れる身近なCMソング
場所は、南海なんば駅などに近い、高架下にある大阪市浪速区の「namba ROCKETS(難波ロケッツ)」。自分たちを紹介する無料ライブとはいえ、力の入れようは全く半端なことはない。村瀬さんが考えた構成のもと、トークや芝居、コントなど、様々なコーナーを用意。そして、西浦の高校野球ソングなどが聴けるというスタイルになっている。特に、西浦の「天然トーク」はこのライブ名物のひとつ。一生懸命さから出る面白さをファンは楽しみにしている様子だ。 「もちろん手抜きはしません。ただ、ライブの曲に関しては、全部唄っていたら、ふだんのライブに来て頂いている方に申し訳ないので、たくさんは唄いません。けど、トークもいろいろ楽しめる内容にはしてるんですよ。なんせこれはラジオ番組(風)ですから」と笑顔で語る西浦。ライブでは、各コーナーの合間で、番組名やテーマを歌う、いわゆる「ジングル」が流され、その後に企業などから募った「オリジナルCMソング」を演奏し、西浦自らが歌う。 西浦はこのCMソングについて「見に来てくださっている方に、ライブの曲だけじゃなくて『ここでしか聴けないモノ、特にこういうCMは普段耳にしませんから。そしたらこんな店もあるんだぁ』とまた思って頂いたら交流も広がるかなと思いまして」とうれしそうに語る。 一方で、CM依頼者にとっても、これはうれしい話。もちろん、西浦のファンならなおさらだが、自分の会社が本格的な曲にのって歌ってもらえるという機会が少ないため、依頼する人も多いという。ちなみに、取材した日は、書店や街の不動産業者。ケーブルテレビ局や専門学校という、身近な企業ばかりだった。 西浦はこれらの曲を1曲2千円で引き受ける。ライブ当日に話しが来ることもしばしばで、こういうCMソングは、話をもらった瞬間に曲が浮かぶという。そしてすぐにノートに書き止め、8小節ほどの曲を完成させる。長年この仕事に携わってきたことが、こうした形で生きている。