SNS・童謡モチーフに心揺さぶれ!愛知発バンドISAAC「エモロック」への挑戦
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エモーショナルロック(通称エモロック)をご存知だろうか。哀愁や切なさをいう英語「emotional(エモーショナル)」の要素をロックに加えた音楽ジャンルで、アメリカでは90年代から人気が出たが、日本では自らをエモロックと表すバンドは少ない。そんな中、あえて「エモ」を全面的に打ち出して活動する、愛知県豊橋市の男性4人組バンド「ISAAC(アイザック)」がある。メンバーそれぞれがバンド活動を始めて約10年。葛藤を繰り返し、エモロックに挑戦を始めた背景に迫った。
他バンド参加、解散、結成、改名 さまざまな経験 歌詞に
“フリック(タッチパネルに指を置いたまま滑らす)して、タップ(タッチパネルを1回たたく)してグッド…”(曲「スーパーナチュラルスーサイド」) “もしもし かめよ うさぎはどこへ マイペースマイペース なんでそんな冷静なの?…”( 曲「動揺を童謡で学ぶ唄~うさぎとかめ編~」) テンポ良くスマートフォンで使う用語を並べたり、だれもが知っている童謡「うさぎとかめ」をモチーフに、動揺する自分の立ち振る舞いを見つめ直したり、その時々で、ISAACメンバーが感じたり考えたりしたことを反映した歌詞が、ロックサウンドに乗る。 ISAACは、ボーカルギター真田修壱さん(31)、ギター石黒健晋さん(37)、ベース平山裕一さん(31)とドラム河合俊紀さん(39)の4人。それぞれが2006年頃からバンドとして活動をする中、11年頃に真田さんが幼なじみだった平山さんを誘い、「The ChronoHEAD」を結成。現在の4人が集まった。アルバムを全国発売して活動を続けてきたが、方向性を再検討。昨年15年に「ISAAC」に改名し、現在に至ったという。
心境変化や飛躍望み改名 「エモい」若者文化も取り込み
改名の理由は、心境の変化だった。平山さんは「高校の時に聞いていたバンドが、アメリカのエモロックバンドのTHE GET UP KIDSや、JIMMY EAT WORLDで、影響をうけた。ロックでメロディアス。どこか切ないのだけど、心を熱くすると言うか。それがこれまでの僕らの基礎になっていたから、自分たちもエモロックバンドで行こうと決めた」と語った。 真田さんは「飛躍しようと思った」と振り返る。ファン層である10~20歳代の間にはスマートフォンなどのデジタル機器が普及。人とのつながりもインターネット上の交流支援サービスSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が主流となる中で、バンドとしても時代に乗っていくため「心機一転」(真田さん)を図った。 時を同じくして、SNS上で「エモい」という言葉が使われ出した。意味は「切ない・悲しい・寂しい」で、感傷的な自分を相手に伝える時に使われる。「『エモい』という言葉が普通に使われるようになったから、エモロックバンドってアピールして、認識してもらおうと思った」(平山さん)と、若者文化も見極めた。