今年1月にリリース「鬼ノ宴」ストリーミング総再生回数が1億回突破 謎も多い「令和のポップキラー」新星の素顔
シンガー・ソングライターの友成空が注目を浴びている。昨年12月にデビューすると、今年1月にリリースした「鬼ノ宴」が若い世代を中心に大ヒット。デビューから1年足らずで飛躍を遂げた。しかし、年齢などアーティスト写真や曲以外の情報は、ほとんどが非公表。謎も多い新星の素顔に迫った。 やみつきになるメロディーと毒気をはらんだ歌詞が話題を呼び、付けられたキャッチフレーズは「令和のポップキラー」。昨年12月に「改札」でデビューすると、今年1月にリリースした「鬼ノ宴」のストリーミング総再生回数が1億回を突破した。若い世代を中心に2024年を代表するトレンド曲の一つとなり、その名を一気に広めた。 デビュー直後での活躍に「良い意味で想像と全然違う一年でした」と笑みをこぼした。同曲のヒットは、自身の背中を大きく押したと言い「今までは身近な世界を写実的に描いた曲にしていたんですけど、『鬼ノ宴』はファンタジーとか抽象的な世界を基に作った曲。それが一番良い反応をいただいているので、自信が付きました」と胸を張った。 一方で、ヒットしたが故に「数字を意識するようになってしまって…」とスランプに陥ったことも告白。「作るときにそういう下心が出ちゃうともったいない。『鬼ノ宴』だけじゃないのにって悔しさもあるので、次のヒット作をいかに出せるかだと思います」。その後も次々と新曲を世に送り出し、11月27日には5枚目シングル「ACTOR」もリリースした。 音楽人生の始まりは、小学1年生のとき。母にピアノ教室へ連れて行かれたことがきっかけだった。当初から抜群のセンスが光っていたのかと思いきや「楽譜を読めるようになるのが遅くて、いろいろ間違えてたんですよ」と振り返る。しかし、これが結果的に功を奏し「クラシックの和音を1音だけ外したりすると、たまたまジャズの和音になったりする。そういうのがきれいだなと思って」と作曲の虜(とりこ)になった。 中学、高校に進んでも熱が高まるばかり。「やっぱり、曲ができ上がったときの感覚は何事にも代えがたい。一番幸せですね」。スマートフォンやパソコンを手にしたことで本格的な曲を作るようになった。 作曲技術は独学で習得。「『この時期にこれを学びました』というのがない。理想の音に近づくためにネットとかでいろんな手段を一つ一つ調べていて、逆に言えば今も学んでいる感じです」。誰にも教わってこなかったことが、型に当てはまらない自由なメロディーを編み出すことにつながっていった。 高校の3年間では、6曲を制作。それらの持ち曲をSNSで見かけたデモテープの募集ページに送ると、音楽事務所の目に留まりデビューを果たした。 経歴を聞くと、作り手に徹する道に進んでもおかしくないように思える。「自分の言葉は自分の口で一番魂を込めて伝えられるっていう信念があった」とシンガーとしてのデビューを選択。歌うことに関しては「本当に何もしてなかった」と言うが、クールな雰囲気が漂う歌声で曲の世界観を見事に作り上げている。 ライブ活動もスタートさせた。「正直な気持ちで言うと、ライブが自分にとっての試練」と漏らす。ステージでの歌唱は、高校で入っていた軽音部の活動で経験した程度。「曲作りは時間にとらわれずどこまでも自分の中で反すうして高められるんですけど、ライブってスポーツ的なところがある。一回限りの感じがまだ追いついてない」。後戻りできない生のパフォーマンスに難しさを痛感していた。 自分が歌いやすい曲を作る手段もあるが、「(曲作りの段階で)ライブのことは考えない」とあくまでも良いものを生み出すことへのこだわりを貫く。妥協を許さないからこそ「自分の曲を歌うのがめっちゃ難しいんですよ」と苦笑いを浮かべた。 課題が増えても「1人のステージを使いこなせるようになったら最高だなと思う」と試行錯誤を繰り返す日々。来年1月5日には、東京・渋谷区の「duo MUSIC EXCHANGE」で2度目のワンマンライブを開催する予定。「まずは、自分で良いライブができたって思えるライブをすることが目標です」と表情を引き締めた。 シンガー・ソングライターとしての道はまだ始まったばかり。将来に目を向けると大きな野望を口にした。「音楽の教科書に載りたいですね」。誰かの心に残る音楽を編み出すため、曲作りにパフォーマンスに汗を流していく。(松下 大樹) ◆友成 空(ともなり・そら) ▼生まれ 2002年、神奈川県出身。 ▼趣味 カメラ、旅行、ラーメン巡り。「高校生の時はラーメン中毒みたいになってしまって…。今は月数回に抑えています」 ▼息抜き ランニング、お香をたく。
報知新聞社