昨年3勝と飛躍! 幡地隆寛はパット巧者のストロークを「肩口から見て」パーフェクトコピーしていた
「僕の中で谷原さんにどれだけ近づけるか」。黄瀬涼太のパーフェクトコピー、乙骨憂太の模倣のように、幡地隆寛はパット巧者の谷原秀人のパッティングフォームを真似している。ALBA TVの「K's STUDIO」では深堀圭一郎が幡地のパッティングについてインタビュー。そのストロークの観察の仕方が衝撃的だった。 【写真】幡地隆寛が実際に行った観察の仕方が衝撃的すぎた 「打ち方も大事なんですけど、間の取り方だったり、テークバックまでのタイミングも意識しています」という幡地。きっかけは2023年の「バンテリン東海クラシック」の予選ラウンドで谷原と同組で回ったことだった。「どういう状況でもテンポが変わらない。あれはすごいなと思って同じセンターマレットを使っています」。パターはスコッティ・キャメロンの『Phantom X T11ツアープロトタイプ』を使っているが、これも谷原のエース、スコッティ・キャメロン製のセンターシャフトのマレットパターを真似る徹底ぶりだ。 谷原は46歳のベテランで、幡地と同じ広島出身。東北福祉大の先輩でもある。ツアー屈指のショートゲームの技術を武器に、これまでにツアー通算19勝を積み上げている。これは現役の賞金シード選手では、石川遼の20勝に次ぐ2位の勝ち星。20年を超えるツアープロ生活で勝負どころのクラッチパットを何度も決めており、2012年から3年連続で平均パット1位に輝いたパット巧者だ。 「谷原さんは目標からボールに目線を戻してから上げるまでのタイミングが早いんです。いい間で上げられるかをずっと意識してやっています」。そのコピーの仕方が変わっていて、谷原が練習グリーンで打っているときに背中に張り付き、肩口から観察して、タイミングや動きを脳に焼き付けている。「『やめろよ』と言われながら見ていますね」と笑う。 その成果もあって昨年は、2月のアジアンツアー「ニュージーランドオープン」優勝を皮切りに、日本ツアーでも5月の「関西オープン」、9月の「バンテリン東海クラシック」と年間2勝を挙げる活躍をみせた。「関西オープンで優勝したときに谷原さんから『どんどん似てきているな。安心して見ていられるよ』とラインが来ました(笑)」。 谷原を見習い、アドレスではワイドスタンスに変えた。「お尻周りが揺れるのが良くない。風が吹いたときでも揺れにくくなった」という。ところが、パターをセンターシャフトのマレットに替えると、ボールが左に引っかかるようになった。それを谷原に相談すると『ボール位置を変えたらいいんじゃない?』とアドバイス。それまではヘッドを体の重心の真ん中に構えていたのを、ボールとヘッドとの隙間を真ん中にして、ボール位置を少し右足寄りにしたことで「コロがりがきれいになって、イメージした球が出やすくなった」。 そしてインパクトでは、ハンドファーストにせず構えたロフト通りに打ち出していく。「谷原さんはアドレスと同じようなところから入れてきて、ヘッドがポンと先に出ていく。結果として、ロフトがある状態でしっかり球がつかまえられるようになりました。スライスラインでつかまりきらないミスがだいぶ減りました。前はフックラインが得意でスライスラインが苦手だったのが、いまは得意不得意がなくなりました」と、効果を感じている。 ストローク全体では「胸が真っすぐ下を向くように、右肩が下がらないように」気を付けている。 ドライビングディスタンスのタイトルを獲るなど、ツアー屈指の飛距離を持っていた幡地。谷原のパッティングストロークをパーフェクトコピーしたことで、22年シーズンはツアー68位(1.7845)だった平均パットは、昨シーズンは25位(1.7575)まで向上した。上手い人を真似ることが上達の近道なのかもしれない。 ■幡地隆寛 はたぢ・たかひろ/1993年生まれ、広島県出身。188センチの長身を生かしたドライバーショットはキャリーで310ヤードを超える。ツアーデビューは2016年で、初シード獲得まで6年を要した。プライベートでは「下部ツアーに出ているときから支えてもらっている」という年上の志保さんと21年に結婚している。 ◇ ◇ ◇ ●幡地の飛躍の陰にはこだわりのクラブセッティングがある。関連記事の【ウソだろ!? 幡地隆寛愛用のアイアンは、6番のロフトを寝かせて7番として使っていた!】では、驚愕のアイアンの番手ズラしについてレポートしている。