ドリカム中村が明かす35年の軌跡 「300曲あるとすれば290曲は聴かれていない。トップ10の曲でドリカムは成り立っている」
隠れた曲の持つチャンス
「ウラワン」は、ファンが聴きたい曲を並べる「ドリカムワンダーランド」と対をなし、ドリカムが聴かせたい曲、隠れた名曲が並ぶライヴというコンセプトだが、「楽曲配信の時代になってから、隠れた曲 がもう一度日の目を見る機会が格段に増えたと思っています」と中村は指摘する。 すなわち、かつて200万枚以上売れたアルバムでも「CDだと隠れた曲 は隠れたままで終わっていた」。楽曲配信なら、どの曲も区別なくずらりと並べられ、大ヒット曲と同等に目が行く可能性が少なからずあるためだ。 実際、自身の事務所を立ち上げ、音楽出版会社も運営する中村には、どの曲が何回再生されたか、あるいは、JASRACによるデータなど、「どの曲がどれぐらいマネタイズされたか」というのは逐一分かるという。その中で「ドリカムの曲が300曲あるとすれば、290曲は聴かれていない。トップ10の曲でドリカムは成り立っているんです」と説明する。 サブスクサービスごとに売れる曲の特性もあるといい、「あのサブスクではこの曲、こっちではこれ、というのがあって面白い。どのサブスクでも聴かれる曲、たとえば「何度でも」などは1億再生超えになっている」と話す。 「吉田の仕事が新しい曲を書くこととすれば、僕の仕事は聴かれていない290曲に日を当てること」と断言。その意味では「今度のウラワンでの選曲は、10年や20年やっていない曲がザラにある中で、吉田の口から生で聴ける最後のチャンスかもしれない」と指摘する。若い頃ならネガティブに捉えられるかもしれない発言だが、2人の年齢を考えれば、今回の選曲の貴重さが十分に納得できるはずだ。 しかも、隠れた名曲とはいえ、決して演出が地味になることはない、ドリカムのウラワン。「それを踏まえた上で、ウラワンがどういう到達点にたどりつくかを楽しんでほしい」と中村は自信を見せる。
ドリカムの日も
織り姫と彦星が出会う夢を叶える日ということから、日本記念日協会によって認定されている「ドリカムの日」=7月7日。吉田の出身地、北海道池田町では6日の前夜祭と合わせスペシャルイベントが開催される。 ドリカムミニライヴはもちろん、今年の日本アカデミー賞協会特別賞(特殊美術造形)を受賞した造形作家、村瀬継蔵さんが監督した「カミノフデ ~怪獣たちのいる島~」(主題歌:DREAMS COME TRUE「Kaiju」)、堤幸彦監督最新作「Page30」(音楽監督:中村正人)のプレミア上映会、ドリカムディスコ、ドリカムのライヴ衣装を手掛ける丸山敬太のブランド「KEITA MARUYAMA」の30周年とコラボした展示衣装巡りなどが予定される盛りだくさんのイベントだ。 「池田町のワイン城50周年と合わせてのイベント。池田町も懐深く協力してくれた官民連携によるイベントで、地方創生というとオーバーかもしれないけれど、せめて吉田が生まれ育った町で我々がお返しできるとしたらこういうこと」とイベントに中村も腕を撫す。