桐生祥秀が日本選手権で見せた成長の跡
去年の山縣が持っていたオーラに似たような感じというか…、『この区間は彼に任せておけば、絶対に仕事をしてくれる』というような風格を感じさせていました」とも言うのだ。山縣は「ここまで追いついたといったら負けを前提にしているようで嫌なんですけど」と前置きして、中盤での加速の改良に取り組んだことを明かした。それは桐生の強さを認めた上での取り組みだ。さらに5月のゴールデングランプリで桐生と接戦をした1学年上の大瀬戸一馬も、桐生に追いつくことを意識することで強さを身につけて、世界リレーでは1走を務めた疲労もあった今大会は準決勝で少し脚を痛めながらも、決勝ではキッチリ4位に食い込んだ。 「9秒台を狙うと絶対に力んでしまうから、まず目標にするのは勝つこと。記録はそれに付いてくればいいと思っている」という桐生。昨年は衝撃の10秒01で男子短距離に大きな刺激を与えたたが、今年は強さを身につけることでさらに大きな刺激を、他の選手たちに与え始めた。 (文責・折山淑美/スポーツライター)