「私が彼女になってあげよっか?」オフ会で美人とサシ飲みしたら… 理性と感情がぶつかりあって情緒がめちゃくちゃに!? SNSで話題のイジられ系ラブコメ 【書評】
理性ではわかっている。この人は好きにならないほうがいい。でも、感情がブレーキを踏んでくれない。そんな理性と感情のぶつかりあいを経験したことはあるだろうか。 【漫画】本編を読む
『情緒をめちゃくちゃにしてくる女』(蝉丸/KADOKAWA)は、魅力的な女性に翻弄される非モテ男性が主人公。彼女ができたこともなく、女性と話すのすら久しぶり。そんな男性の前に唐突にあらわれた女性は、周囲の注目を集めるほど容姿端麗なうえに、こちらに好意を持っているかのような積極的なアプローチをしてくる。 このアプローチを素直に受けいれていいものか。もっと警戒し、慎重になるべきなのか。ドキドキとハラハラにあふれ、まさに「情緒がめちゃくちゃ」になってしまう日々は、タイトルに偽りなしのラブコメ作品だ。 本作は、もともとSNSで発表された、わずか1ページだけの作品だった。「彼女出来たこともないしダメ人間だよ……」と卑下する男に対し、愛想よく笑いながら「全然そんなことないと思うけどな~」と全肯定。そして「私が彼女になってあげよっか?」とダメ押ししてくる魅惑的な女性がこちらを見つめてくる絵。それが人気をよび、同人版が作られ、その後、連載へと繋がった。 「好きになるべきではないと分かっていても、否応なく好きになってしまう」という状況に共感を覚える人は大勢おり、的確にその古傷に刺さる強さを持っていることを、作品みずから証明してきたと言っていいだろう。 そして、物語が進むと別の女性も出てくる。年下で、同じ趣味を持っており、変にかまえることなく話しやすい。こちらも主人公に好意を持っているようだ。最初の女性には高嶺の花のような魅力があり、こちらの女性には親しみやすさがある。 違う魅力をもったふたりの女性に翻弄されることによって、ラブコメらしい「どちらの女性が好きなのか?」といった贅沢な悩みも加わり、より重層的に情緒をめちゃくちゃにされていくあたりからも目が離せない。 理性と感情のあいだの葛藤に覚えのある人であれば共感必至。魅力的な女性たちが出てくるラブコメ作品として楽しむこともできる。ぜひ、このハラハラとドキドキのせめぎあいを一緒に感じてほしい。 文=ネゴト / たけのこ