39歳C・ロナウド、集大成のEUROへ「監督の決定を尊重」。今大会での立ち位置は?
現実とは痛み、不確実性、不断の努力という3つの側面をもっているとクリスティアーノ・ロナウドは考えている。その理由は容易に理解できる。彼のドイツまでの道のりは、まさにその通りの驚異的なものだった。 文=マーク・ドイル それはカタールでの痛みから始まった。予選では苦しい思いをし、C・ロナウドのポルトガル代表としての未来は常に不確実だった。それでも必死に戦った結果、ワールドカップという大きな国際大会にたどり着いたのだ。 今、火曜のユーロ2024のチェコ戦のキックオフを待つポルトガル代表にあって、C・ロナウドはただチームにいるというだけでなく、このドイツ大会で最も才能ある選手のひとりとして攻撃に加わろうとしている。つまり、39歳にして失意のうちに終わるかと思われていた、数々の記録を破ってきた代表としてのキャリアが、逆にC・ロナウドの驚くべき復活という最高の輝きとともに締めくくられるかもしれないのだ。 間違えてはいけない。これは、ただC・ロナウドが有終の美を飾ろうとしているというだけではない。蚊帳の外に置かれ、嘲笑されたカタールを過去のものにしようというのだ。C・ロナウドは、ドイツで最後に笑おうと決意しているのである。
砕かれた「夢」
2022年12月10日の夜、ドーハでタイムアップの笛が吹かれた瞬間、涙は流れだした。気が動転していたC・ロナウドは、ポルトガルのファンのもとへ挨拶に向かうことすらできなかった。痛みが大きすぎた。 ワールドカップ準々決勝でのモロッコ戦の衝撃的な敗戦は「夢」が砕かれたことを意味した。C・ロナウドの代表としてのキャリアも終わったと思われた。37歳の彼が絶頂期を過ぎていることは明らかだった。20年近くC・ロナウドに頼りきりだったポルトガル代表は、新たな道を進んでいく必要があると誰もが思ったのだ。
CR7の存在
正直なところ、カタールでのC・ロナウドは非常に高いレベルで完成しているように見えた。復帰したマンチェスター・ユナイテッドでは残念な結果に終わった後、再びワールドクラスのFWであるという評判を取り戻そうという意志が感じられていたのだ。ところが、彼のワールドカップは、低調なパフォーマンスと哀れを誘うような癇癪が詰まった悲しい物語となった。その結果、フェルナンド・サントス監督は決勝トーナメントでC・ロナウドを先発させなかった。 この決断にサッカー界全体が驚愕したが、間違いなく正しい判断だった。歴代最高の点取り屋ではあるが、カタールでは1得点しかしておらず、自分の能力の衰えをまったく認めないように見えるストライカーのいないポルトガルは、それまでよりも良いプレーをしていた。 それでもC・ロナウドは終わらなかった。大事なのはサントス監督の後任もそれを望まなかったことである。