2024年、この世を去ったスターたちの最高傑作は?(4)永遠の輝き…世界的な人気を誇る押しも押されぬ代表作
映画界を彩り、国民に感動を届けてくれたスターたちの訃報が続いた2024年。今回は、今年、惜しまれつつ旅立った名優たちの輝かしいキャリアや代表作を振り返り、それぞれの人生を象徴する名作を厳選して紹介する。スターたちが残した魅力と功績に敬意を表しながら、映画界に刻まれたその軌跡を辿る。第4回。(文・村松健太郎)
中山美穂『Love Letter』(1995)
年末も押し迫った中、中山美穂の訃報に驚いた人も多かっただろう。 人が亡くなる時に何歳ならいい、いつならいいというものはないのだが、それでも中山美穂が54歳の若さでこの世を去ったことは非常に残念でならない。 1985年にドラマ『毎度おさわがせします』(TBS系)で演技デビューした中山美穂は同年に歌手デビュー。あっという間にトップアイドル“ミポリン”に駆け上がった。歌手としては作詞も担当した「世界中の誰よりきっと」が180万枚を超える大ヒットを記録した。 同年には『ビー・バップ・ハイスクール』で銀幕デビューを飾る。その後バブル景気の香りがするホイチョイ・プロダクションの『波の数だけ抱きしめて』(1991)、竹中直人監督作品で大人の俳優へとステップアップして見せた『東京日和』(1997)、当時のパートナー辻仁成の原作を映画化した『サヨナライツカ』(2010)などの映画に出演した。そんな中で、筆者が彼女の代表作を1本選ぶとすれば、1995年に公開された岩井俊二監督の『Love Letter』になる。 当時新進気鋭の映像クリエイターとして注目を浴びていた岩井の劇場用長編映画第1作でもある。 この時岩井はすでに、名作の誉れ高いドラマ『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』で、ドラマ作品としては異例の日本映画監督協会新人賞を受賞しており、注目の存在だったとは言え、初監督作品に押しも押されぬスターであった中山美穂が主演したことは大きなサプライズだった。劇中で1人2役を演じた中山美穂は映画賞を数多く受賞。アイドルからの脱却の大きな1歩となった。 韓国と台湾でも公開されヒットを記録、両国から映画の舞台北海道・小樽への観光客が大きく増えたのも話題となった。ちなみに、2024年公開の藤井道人監督『青春18君へと続く道』にはオマージュシーンがある。興味のある方は、ぜひ両作を見比べてみてほしい。 (文・村松健太郎)
村松健太郎