ごろつき、駄犬、クズの群れ… 南北連結道路を爆破した北朝鮮が興奮する3つの理由
北朝鮮の体制を揺るがすビラ
北朝鮮が興奮する第2の理由は、無人機が撒いたビラが北朝鮮の体制を揺るがすものだったからだ。北朝鮮外務省の重大声明は「朝鮮の国権と尊厳を損ない、社会主義制度を悪意に満ちて謗る悪辣な反朝鮮怪説と悪口で一貫した汚いビラ」と表現した。朝鮮中央通信が公開したビラは一部ボカシが入っているものの、金正恩氏とキムジュエ氏と呼ばれる娘とみられる写真や、南北の経済格差を示した説明などが書かれているようだ。北朝鮮が、脱北者たちの市民団体が撒いてきた反体制ビラに脅威を感じていることは、5月下旬以降に20回以上、計5500個以上の汚物風船を韓国に飛ばしていることからも明らかだろう。 また、第3の理由として、無人機が平壌上空に進入した事実に、北朝鮮当局が強い脅威を感じていることが挙げられる。移動する人間を狙う場合、無人機のように24時間体制で監視できる手段が必要になる。北朝鮮が主張する通りであれば、1週間に計3度も無人機の平壌進入を許したことになる。常に暗殺の不安におびえる金正恩氏としても、たまったものではないだろう。 朝鮮中央通信によれば、金正恩氏は14日、国防および安全分野に関する協議会を招集し、「国の主権と安全保障の利益を守るための戦争抑止力の稼働と自衛権の行使で堅持すべき重大な課題」を明らかにしたという。北朝鮮は決して自殺行為はしない国だが、それは体制を守ることが最重要課題だからだ。守るべき体制が混乱に陥れば、不測の事態も起きかねない。金与正氏は15日、「韓国の軍部ごろつきが朝鮮の首都上空を侵犯する敵対的主権侵害挑発行為の主犯であるという明白な証拠を確保した」「挑発者は甚だしい代価を払うことになるだろう」と警告する談話を発表した。韓国政府・軍は、無人機の進入を巡る詳細については沈黙を守っている。韓国側も緊張を強いられる事態になっているということだろう。
牧野 愛博