暴走族ブーム前の1970年代について当時のバイカーに聞いてみた【あの頃は純粋だった】
1970年代のバイカーはヤンチャではなかった
ノーヘルで速いスピード。これこそ私の求めていたヤンチャなバイカーの理想像!と鼻息荒く、「もっと当時の話を教えて! もっとヤンチャなエピソードないの!?」と父親に聞いてみたのですが、じつは1970年代のバイカーはヤンチャではなかったそうです。 ────────── 1970年代はバイク漫画もバイク映画もまだ少ない時代 ────────── 「きっと昔の人も、映画や漫画に影響されてヤンチャな乗り方をしていたに違いない!」そう思って当時のバイク文化について聞いてみたところ、「そういった影響は少なかった」という答え。 なぜなら1970年代は、今と比べてバイク漫画や映画がなかったから。映画『イージー・ライダー』の影響でハーレーに乗る人は増えたものの、当時の若者にとってハーレーはかなり高額で手を出せるようなものではありませんでした。なので、『イージー・ライダー』の影響で、ヤンチャな人が増えたという印象もないそうです。 また1970年代は、まだ「バイク=暴走族」のイメージになる前。父いわく、暴走族が流行ったのは1980年時代ですから、当時はまだ「ヤンチャな人が乗る物」というイメージではなかったのでしょう。 ────────── 「ヤンキー/走り屋」の分類がない「バイカー」だけの時代 ────────── 今でこそ、「ヤンキー系ならこのバイク」「走り屋系ならこのバイク」のようなイメージがありますが、当時はこれらの分類もなかったとのこと。バイクに乗る人はみんな「バイカー」でしかなかったそうです。ハーレー乗りはおじさんというイメージがあったそうです笑。 ────────── 1970年代のバイカーは決して派手ではなかった ────────── 私がこれまで憧れてきたバイカーは、バイクそのもの/乗り方など、すべて派手なものでした。 ヤンキー系であれば、見た目を派手にして大きい音を出して乗る。峠を攻める走り屋系なら、アクセルをガッツリまわして膝すりをする。 これこそが私の憧れるかっこいいバイカー。しかし、父親の時代のバイカーはもっと大人しいものだったようです。 「じゃあその時代の人は何を楽しんでたの?」という私の疑問に、次のように答えてくれました。 「膝すりも俺が乗ってた後に流行ったんだよ。1980年代頃のオートバイレースが流行ってから真似し始めたんじゃないかな。俺らの頃はそこまでバイクを横に倒すこともしなかったしね。ツナギとかも着てる奴はいなかったね。本当、ふだん着でラフに乗る感じかな。バイク乗ってることがかっこいいっていうイメージもなかった時代だから、純粋な趣味で乗ってる奴ばっかりだったよ」 当時のバイカーは、私のように「派手な乗り方こそすべて!」ではなく、本当にただただ乗るのが好きだったんですね。