数々の歴史つまったグリコの記念館へ ポッキー巨大自販機も
創業者愛用の新聞切り抜きファイルなども
先述のとおり、現在はポッキー展が行われている(期間は12月25日まで)。過去のポッキーのパッケージから、なにやら氷がいっぱいのワイングラスにポッキーをさしたものまで展示されている。「私たちは商品の食べ方も提案させて頂いてまして、こちらは『ポッキーオンザロック』になります」と窪田さん。なるほど、言われてみれば昔、テレビCMで見たり、スナックなどでも出されるケースが多いので見たことがある人も多いことだろう。そんな50年の歴史を凝縮した展示が限定で見られるのはおもしろい。 窪田さんによると、同記念館は、同社が創業50周年を迎えた1972年に開館した。その開館の目的は「従業員に創業の志を伝え、社業発展に寄与するため」だそうだ。同社を創業した江崎利一氏の愛用の机やいす、そして新聞や雑誌の気になる部分を切り抜いてたくさんはりつけたファイルの数々は、利一氏がいかに勉強を重ね仕事に臨んでいたかを物語る貴重なものだ。 また、印象的なもののひとつに、利一氏が家庭の事情などで教科書代がもらえず、友人の教科書を写して作ったという自作の教科書も心を打つ。そんな利一氏を偲ぶ部屋を見ると、同社の様々な商品が生み出される礎にも見えてくる。
日本初と思われる菓子の自動販売機実機も展示
そして、なんといっても魅力のひとつは、これまでの商品などの展示だ。おそらく日本で初めてという菓子の自動販売機の実物品や、昭和初期から売り出した当時の菓子のパッケージの数々。そして、その菓子についてくるおもちゃ、いわゆる「おまけ」と呼ばれるものの数々の一部が展示されていることだ。 窪田さんによると、そのおもちゃは同記念館に4000点も飾られているという。しかし、窪田さんは「1927年(昭和2)から現在まで、おもちゃは55億個作ってます」と続ける。そしてその種類は3万種類。ここに展示しているのは、その3万種類のうちの4000点だという。 その、おもちゃも見ていると時代を表すものも多く、SFなどが流行った時代のものはロボットや宇宙船。スーパーカーなどが流行った時代のもの、おままごとにちょうどよい生活用品を模ったもの、親の目を意識して、折り紙などを使った教育玩具的なものまで、様々な種類のおもちゃを一気に見られるのは圧巻だ。 また、1930年にお菓子につけられたもので、造幣局に60万枚発注したという、良質なメダルのオマケも展示されている。だがこれらのメダルはちゃんと、造幣局にも作られた記録が残されているというから、歴史の重みを感じることができるのかもしれない。