<私の恩人>「笑い飯」哲夫、“怖い先輩”のメッセ黒田が胸を貸してくれた
“Wボケ”というジャンルを確立し「M-1グランプリ2010」優勝、上方漫才大賞受賞など漫才界のど真ん中を歩む「笑い飯」。単独イベント「笑い飯のルミネLIVE」(9月5日、東京・ルミネtheよしもと)、「笑い飯のなんばグランド花月LIVE」(9月12日、大阪・なんばグランド花月)も開催し、さらなる高みを目指します。コンビとしての活動にとどまらず、人を食ったようなツッパリキャラを見せたかと思いきや、般若心経に関する著書を出すなど、ピンとしても独特の展開を見せる哲夫さん(39)。気骨ある芸風の根底にあるのは“暴れん坊芸人”として知られる先輩からの教えだと言います。 この世界に入った頃から、ずっと違和感があったんですよね。芸人という仕事をしながらも、師匠がいないということに。ちゃんと修業らしい修業をしないと、例えば、エラそうに後輩を飲みに連れて行っても、サマにならないというか。漠然と、そういう思いが常にあったんです。ちゃんとした芸人、先輩になるには修業をしないといけない。しっかりと自分を鍛えないといけない。それを考えた時、大阪で、ある意味、一番恐れられているのは誰やと。今から十数年前、当時の僕が出した答えが「メッセンジャー」の黒田有さんやったんです。 ま、当時は他にも怖い先輩が多かったんですけどね(笑)。例えば「中川家」の礼二さんも怖かった。普段はものすごく優しいんですけど、お酒を飲むと、そら、もう厳しい。一度、礼二さんにオカマバーに連れて行ってもらったんですけど、ベロベロの礼二さんがオカマに説教しだしたんです。僕はずっとビールを飲んでたんですけど、さすがに飲みすぎて、気分が悪くなってトイレに吐きに行こうと。ただ、すごく狭い店内やったんで、僕の席からトイレに行こうとすると、礼二さんに一旦どいてもらわないとトイレにたどり着けない作りになってたんです。 ただ、礼二さんがオカマをすごい勢いで叱ってるから「すみません、トイレに…」とは言えない空気やったんです。ただ、もう、本当にノドのすぐそこまで胃液が上がってきてるわけです。だから、苦渋の決断として、飲みほしたビールのグラスに、少しずつ胃液を吐いてたんです(笑)。ただ、当然グラスにも容量があるので、そうこうしているうちに満タンになってきた。