「この歳で目指すべきものがあるのは幸せ」全米シニアオープン2位藤田寛之プロ単独インタビュー
米ロードアイランド州のニューポートカントリークラブで開催された「第44回全米シニアオープンゴルフ選手権」で、藤田寛之プロが2位に入りました。5日間の長丁場となった今大会。プレーオフ4ホール目でリチャード・ブランド(イングランド)に屈しましたが、その戦い振りは多くのゴルファンに感動を与えました。その藤田プロが、試合後にCSゴルフネットワークの単独インタビューに応じ、大会の模様を振り返っていただきました。(聞き手:ゴルフスイングコンサルタント吉田洋一郎氏、皆藤慎太郎アナウンサー) 【動画】藤田寛之が最終18番でみせた起死回生「魂のドローボール」【全米シニアオープンゴルフ選手権5日目8ホールハイライト】
ゴルフに対する準備は1年365日しているので特別な準備をすることはないですね
皆藤 5日間という長丁場の戦いを終えて、現在の率直な気持ちを聞かせてください。 藤田 やっぱりトップにいただけに、“残念”という言葉がまず出てきますよね。ただ、レギュラー時代を含めて、これまでメジャーといわれる大会で30位以内に入ったことがなかったので、そういう点では2位というのは悪くはないし、大会を通じて非常にいい戦い、いいゴルフができたと思っています。 皆藤 今回の全米シニアオープンに向けてはどんな準備をされたんですか? 藤田 ゴルフに対する準備は1年365日しているので、メジャーだからといって特別な準備をすることはないですね。技術的なところでは、例えば4番アイアンを持っていくとか、今回リンクスだったのでウェッジを2種類持っていくということはやりましたけど、普段通り戦いました。 皆藤 ニューポートカントリークラブはどんなコースでしたか。 藤田 予想通り、リンクス風でした。5月の「全米プロシニア」の舞台となったザ・ゴルフクラブ at ハーバーショアズ(ミシガン州)は、グリーンのアンジュレーションが強く、ハザードもグリーンに迫っていましたが、今回は、花道があって、グリーンもガチガチにガードされているという感じではなく、転がしていけるルートがありました。 吉田 今回、ショットが素晴らしかったのですが、何か工夫されたことはあったのですか。 藤田 ここ数年、フェースが開いてしまうことを悩んでいて、師匠である芹澤信雄プロにも相談していたんですが、同じチーム芹澤の遠藤正人プロが、アマチュアへのレッスンで、「ボールを投げる動きでやりましょう」と言っていたのを聞きましてね。そのことは僕も昔から知っていたんですが、「下半身から戻して最後にリリース」という動きを意識したら、フェースが勝手に戻ってくるようになったんですよ。まだ完璧ではないのですが、そのおかげでドライバーの当たりも厚くなり、アイアンも安定したような気がします。 吉田 72ホール目の18番ホール、セカンドショットは少し前下がりのライからドローを打たれたじゃないですか。あれはどういう狙いだったんですか? 藤田 グリーンエッジまで220ヤードくらい、ピンまで上りをいれると245ヤードのアゲインスト。しかもつま先下がりで左足上がり。僕は5Wしか入れていなくて、どうやってグリーンにボールを持っていくかを考えたとき、ああするしかなかったというのが本当のところです。5Wでも吹き上がったら飛距離が180ヤードくらいになる状況なので、ちょっと無理やりですけど、フックを打っていきました。大会を通じて18番ホールは、正直、自分にとっては厳しかったですね。毎回250ヤードのアゲインストのセカンドが残るんで、5Wでどうしたらいいんだろうみたいな状況でした。 吉田 でもあのショットには感動しました。こういうショットがこの場面で打てるのかと。 皆藤 18番のセカンドショット打つ前、ブランドが18番ボギーで、13アンダーに落としたっていうのは分かっていましたか? 藤田 いや、拍手が聞こえたので、てっきりパーをセーブしたと思っていました。だから、無理してでも何とかピンの近くまで持って行きたいと。自分で言うのも何ですが、あのショットは良かったですね。アゲインストで230ヤードぐらい飛んでいましたからね。グリーンに行ってからスコアを確認して、ブランドがボギーを叩いたということが分かったんで、「これを入れたら優勝」みたいな感じになっていましたけどね(笑)。 吉田 毎回、海外メジャーに出るたびにモチベーションが上がると同時に、いろんな課題が見つかるという話をされていましたけど、今回も何か見つかりましたか。 藤田 順位が30位以内をキープできない中で、飛距離だったり、アイアンショットだったり、ペタペタの硬いところのアプローチだったり、グリーンに止めるスピンショットだったりといったところをいつも足りない部分として感じていたんですけど、今回に関しては、足りないなと思うことが少なかったような気がします。 吉田 今後、PGAツアーチャンピオンズ(米国シニア)に参戦するということも考えていらっしゃいますか? 藤田 (メジャーで)30位にも入ったことない選手だったんでね(笑)。優勝したらチャンピオンズに出られるんだということは考えましたけどね。