福島市、ごみ出し違反で開封調査 分別ルール徹底へ 来年3月から「市民の意識高めたい」
ごみの分別の徹底に向け、福島市は早ければ来年3月にもルールを守らずに出されたごみの開封調査を始める。袋の中のごみから排出した個人や事業者を特定し、悪質であれば氏名や事業所名などを公表する。県によると県内市町村の開封調査は初めて。ルール通りに分別を徹底すれば資源のリサイクルが進み焼却するごみの減少につながると市は見込む。ただ、ごみの中身の調査はプライバシーの侵害との指摘もある。市は個人情報の保護に努めると強調するが、市民から「やりすぎでは」との声も上がる。 開封調査は市廃棄物処理条例に関連事項を新たに盛り込んで実施する。市民のごみに対する意識を高めることも目的としている。調査の流れは【図】の通り。回収業者が燃えるごみに不燃物を交ぜるなどのルール違反を見つけた場合、違反を知らせるシールを貼り、回収せずに集積場に残す。1週間程度たってもごみを出した市民が対応しない場合、市職員が回収して中身を調べる。袋の中の書類などから捨てた個人や事業者が特定できれば訪問して指導する。それでも状況が変わらなければ文書での改善勧告、氏名や事業所名などのホームページでの公表を予定している。
市は分別を徹底してもらうことでリサイクルに回るはずだったごみが燃やされるのを防ぎ、ごみの総量が減るとみる。通年議会12月定例会に条例改正案を提出する方針だ。木幡浩市長は20日の記者会見で「不適切な排出が許されてしまえば適正に処理する人に申し訳ない。ごみ排出に対する市民の意識を高めたい」と述べた。 2022(令和4)年度の環境省の調査によると、福島市民一人当たりの1日のごみ排出量は1080グラムで、人口10万人以上の都市でワースト13位だった。 ■個人情報保護に懸念の声 福島市内ではごみの減量化が課題となっていることから実施はやむを得ないとする声がある。市内の主婦(53)は「市のごみ捨てのルールは緩いと感じる場面もあった」と打ち明ける。正しく分別しなければ環境に影響すると考えており、開封調査は「仕方ない」と受け止める。無職女性(80)は近所の人がマナーの悪い捨て方をしていてもトラブルになるのを恐れて注意できなかった。「悪質な場合、市が代わりに指導してくれるなら、ありがたい」と話した。