ベンチャー経営者「解雇規制の緩和は当然」「金融所得課税で経済がジリ貧に」、ライドシェアや夫婦別姓は?【自民党総裁戦】
自民党総裁選の争点に関して、IPOを目指すスタートアップ・ベンチャー経営者から意見を募ったところ、興味深い回答ばかりでした。厳選して紹介します。(トライズ 三木雄信) 【画像を見る】ベンチャー経営者ならではの、さまざまな意見がありました ● 自民党総裁選の論点に喝! スタートアップ経営者のリアルボイス 自民総裁選が告示され過去最多となる9人が立候補し、熱い論戦が交わされています。9月27日の午後1時から議員投票と開票、党員投票も開票され、午後6時ごろに新総裁の記者会見が行われる予定です。 筆者は英語コーチングスクールを経営しているのですが、今回の政策・主張の論点について興味があったので、周りのIPO(株式上場)を目指すスタートアップ・ベンチャー経営者仲間に、あくまで個人的にアンケートをしてみました。 論点は、主に企業経営に関係が強いと思われる五つに絞りました。 ◆解雇規制の見直しについて ◆金融所得課税強化について ◆選択的夫婦別姓について ◆ライドシェアの本格的導入について ◆コンテンツ産業を国家戦略として育成することについて アンケートの回答者は40代(全体の36%)と50代(同36%)が9人ずつ、30代が5人(同20%)、60代が2人(同10%)でした。総回答数が25人と、統計的には十分ではありませんが、それらの政策の影響を直接的に受けるメンバーばかりなので、ビジネスで責任のある立場の人なら参考になる部分もあるかと思います。また、自由回答欄にはさまざまな意見があったので、私も考えさせられることが多かったです。 それでは早速、紹介しましょう。
● 生産性向上と賃上げのため 解雇規制を見直すべき! まず、解雇規制の見直しについて。賛否が明確になりました。賛成が17人(68%)、やや賛成の4人も合わせると全体の84%にもなりました。主な意見は次の通りです(以下、回答してもらった文章そのままで掲載しています)。 「頑張りたい社員、結果を出している社員に給与アップや賞与を出したいため、原資を確保したい。その中で解雇規制緩和により、パフォーマンスが良い社員を厚遇できるため」 「流動化させないと、結果的に全体的に給与が上がらない」 「人材の流動性が高まり、賃金水準や経済全体にとっても好循環を生む」 「経営者の立場から考えると当然。プロアスリートの様に厳しい環境でこそ真の競争と真の生産性が得られる。サラリーマンは守られすぎ。と元サラリーマンとして思う」 総じて経営者は、生産性向上や賃上げをするためにも解雇規制を見直しすべき、と考えていると思います。しかし一方で、「解雇規制緩和のためにセーフティーネットが必要」との意見も複数ありました。「あまりに社会的に摩擦が大きいと頓挫する」との指摘は、その通りだと私も思います。 「解雇に際して企業側が労働者に支払う上乗せ一時金に関しての言及がない。最低1000万円程度の上乗せ一時金がセットになるなら理解も出来るが」 「解雇規制見直しの当初は、解雇に伴う金銭補償を多めにすることで濫用を防ぎ、社会的にリスキリングをする風潮を徐々に作ることが重要」 「ただし、従業員の雇用の安定を確保するためのサポートや社会保障とのバランスも重要であり、規制緩和は慎重に進めるべきだと考えます」 大きな政策を実行するためには、現実的に考えることが大事ですよね。社会保障やリスキリング(学び直し)に加えて、解雇に伴う一時金について、総裁候補9人で言及する人が少ないのが私も気になっていました。 いち経営者として私も思うところは、経営も長くやっていると、解雇一時金を払ってでも解雇したい従業員も出てくると思います。それは決して悪いことではなくて、会社にとっても個人にとってもミスマッチは不幸なだけで、次のステップに進む、結果的に良い方向に行くためには、必要なことではないでしょうか。