【全文】BBC日本語版開設(中)「ソーシャルがニュースの編成に影響力」
今のニュースメディアの状況は“回転ずし”(田端)
ジムは「DEMANDING」、要求が高いというようなことを弊社のジムは書いていますね。で、津田さんが「アジェンダビルディング」。藤村さんが「境界線が変化」。田端さん、「回転ずし」。さて、なんでしょうっていう。では、田端さんから。なんですか? 田端:ちょっと、なるべく面白いことを言おうというあれなんですけども。5年前と違って明らかに変化してるなと思うのはどんどん、美しく言うとフラグメンテーションというか、記事と、例えばそれを束ねるニュースメディアと、そういったものが全部ばらばらになってきてるなという感覚がすごくあります。 かつてであれば、回転ずしが出てくる前におすし屋さんのように、例えばかつてであれば、必ず有名なアンカーの方がいて、例えば日本だったら筑紫哲也さんみたいな方がいて、要はすし屋の大将、お勧めコース1本しかないわけですよね。これが今日の旬ですと偉い方が言うと、ああそうなんだと。じゃあありがたく食べようかと。ただ、別に視聴者からしたら、いや、俺、そんなの旬とか関係ねえと。カッパ巻きだけ延々食べたいんだ、卵だけ延々食べたいんだ、トロだけ延々食べたいんだという自由を奪っていたわけなんです。 ところが、今のニュースメディアの状況っていうのは、例えばスマートフォンの普及みたいなのもその伏線にあって、より断片化して、好きなものを好きなだけアラカルトで食べていいようになってると。これ自体がいいことか悪いことか、僕は評価は避けます。ただ、それが現状だと思ってまして、つまりこれまでは板長お勧めの、シェフお勧めのコースしかなかったところに対して、アラカルトで好きなニュースを好きなだけ食べて良くなってしまっている。しかもその消費の場面も、スマートフォンみたいなものが出てきて、もう2~3分のちょっとした空き時間の中でぱっと食べる。スナックを食べるような感じで食べる。優雅に3時間、シェフお勧めのコースを味わうというようなこと自体が、もう非常に牧歌的な状況になってきているなということ自体、僕もちょっとこれ、全然、必ずしもジャーナリストでもなくて、モラル判断を避ける、ビジネスマンとしての目線でニュースの消費の状況がそうなってるなというのを、あえてひと言で言うと、回転ずしがなかったときの皆さん、すし業界を想像してくださいと。それが、回転ずしが出てきたというのが僕の持論であります。 加藤:ちなみに田端さんは、回転ずしはお好きなんですか。 田端:好きです。よくこれ言うのは、回転ずしが出てきたときに、旧来のすし業界の方が、あんなのすしじゃねえとか、たぶん言ってたと思うんですよね。けしからんとか。すしのスピリットの破壊だとか。ただ、皆さん別にすしの板前職人じゃなかったら、そんなのどっちでもいいじゃないですか。回転ずしがすしかどうかって議論してるより、別に食べたいもんが食べられるだけ食べれることのほうが、消費者にとっては大事なんじゃないかっていう。 ただ、よくこれは今でも議論があると思います。ニュース業界の中でも。ただ、良くも悪くもデジタルとかスマートフォンっていうのはアラカルト、回転ずしが出てきちゃったっていうこと自体はもう、ビジネス目線ではいい、悪いを言っても仕方ないんじゃないかなというふうには思ってます。 加藤:ありがとうございます。 津田:そんな中、BBCはやっぱり板前の腕が大事なんだ、みたいなっていう。 田端:ちょっと分かんないですけど。 津田:そういう方法でいこうかなっていうような、ジムさんのお話だったのかなっていうふうに思って。 田端:旧来の。 藤村:なんかいいストーリーだよね、それね。 田端:旧来のすしの敷居が高い、あの。 津田:いや、そうは言ってもシャリの温度が大事じゃないか、みたいな話を今日はなんかしてたのかなっていうふうに思ったので。だけれども、だから回転ずしが出てきている状況にBBCがどう対応していくのかっていうのは、たぶん、それは問題提起でもあるってことですよね。 田端:はい。